話上手と替上着

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話上手の人には憧れますよね。
話上手のことを、「ラコントゥール」と言ったりするんだとか。また、「ラコントゥーア」とも。
これはなんでもラコニア Laconia と関係があるんだとか。ラコニアは、ギリシア、ペロポネソスにある地名。なんですが、それとは別に、古代ローマ時代にもラコニアの地名があったらしい。
古代ローマのラコニアは、スパルタの中心だった所。ほら、スパルタ式なんて言いますよね。ラコニアでは一事が万事スパルタ式で。会話ひとつにしても、無駄なおしゃべりは厳禁だった。
要点だけを簡潔に話すのが良しとされた。つまり、要点を簡潔に話すのが、「ラコニアふう」とされたわけです。
ラコントゥールが出てくるミステリに、『ロジャー・マーガトロイドのしわざ』が。2006年に、ギルバート・アデアが発表した物語。ただし物語の時代背景は、1935年になっているんですが。

「知ってのとおり、とても話のうまい人 ( ラコントゥール ) ー じゃなくて、女性だから話のうまい女性 ( ラコントゥーズ ) と言うべきかしら……」。

これは推理作家の、イヴァドニ・マウントが語っている場面。また、こんな描写も。

「ドクターのほうは慎重にやぼったい身なりを選んでいた ー チェックのスポーツ・ジャケットに、しっかり折目のついたコーデュロイのズボン、黄褐色スエード靴……」。

これは医者の、ヘンリー・ロルフ着こなし。
「慎重にやぼったい替上着」。この微妙な塩梅を、話上手ならなんて説明するんでしょうか。

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