ベートーヴェンは、佳いですね。
ベートーヴェンに、『英雄』があるのは言うまでもないでしょう。ある時、ベートーヴェンは質問された。「いちばんお好きな曲はなんですか?」これに対してベートーヴェン。
「英雄」と答えたそうです。
『英雄』は1804年12月に、仮初演されています。ロブコヴィッツ公爵邸で。非公開の演奏。一説に。「英雄」は、ロブコヴィッツ公爵ではないか、とも。
「英雄」と言って良いのか、悪いのか。サー・フランシス・ドレイク。
サー・フランシス・ドレイクは英国から見れば、大英雄。メキシコやスペインから見れば、大海賊にして、大強盗。どうしても「大」を連発してしまうのは、サー・フランシス・ドレイクのやったこと、けた外れなんですね。事の善悪はさておくとして。
フランシス・ドレイクは、1543年ころ、英国のデヴォン州、タピストックの生まれだという。十歳の時から船乗りになって。やがてはれっきとした海賊に。西インド諸島を手はじめに、荒らしまわる。
1572年5月24日。プリマス港を出航。もちろん海賊船の船長として。それで帰国したのが、1573年8月9日。ふたたびプリマス港に。この時の財宝、金、銀だけで、15トンあったそうです。この財宝をエリザベス女王に献上したので、「サー」の称号を与えられる。フランシス・ドレイクがエリザベス女王に捧げた財宝は、当時の国家予算をはるかに超えるものであったという。
メキシコが背景になる小説に、『権力と栄光』が。グレアム・グリーンが、1940年に発表した物語。この中に。
「白のフランネルの服を着て、広縁の中折帽かぶり……」
これはメキシコ警察の署長の着こなし。いいなあ。
なにかフランネルの服を着て。『英雄』を聴きに行くとしましょうか。