ルイとトレンチ・コート

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ルイで、ジャズで、ということになると、ルイ・アームストロングでしょうね。
でも、どうして「ルイ」なのか。ルイスではなくて。
ルイ・アームストロングは1901年8月4日、ルイジアナ州のニューオーリンズに生まれています。その時の名前が、ルイ・ダニエル・アームストロング。ルイは Louis で、ルイスと訓めなくもないのですが。
ニューオーリンズはアメリカでも特別な所で、フランスの影響が少なくない。一時期フランスの統治下にあったから。アメリカでもあるような、フランスでもあるような。そんなフランス文化の空気のなかでは、「ルイ」のほうがお似合いだったのかも知れませんね。
十九世紀末から二十世紀のはじめにかけてのニューオーリンズは、歓楽街が大いに栄えたところ。今でいうライヴハウスもたくさんあって。たとえば、「ホンキートンク」。軽音楽を生演奏する店を当時は、ホンキートンクと呼ばれたんだそうですね。
1917年頃のニューオーリンズに、「マンドランガ」というホンキートンクがあって。よくここに出ていたのが、若き日のルイ・アームストロングなんだとか。ジャズがニューオーリンズで生まれて間もない頃の話なんですが。
1919年のニューオーリンズを舞台にしたミステリが、『アックスマンのジャズ』。2014年に、レイ・セレスティンが発表した物語。この中に。

「ダーク・ブルーのスーツを二着、トレンチコート、シャツを五枚、厚手のウールのフィッシャーマンズセーター………」。

これは元刑事の、ルカ・ダンドレアが服を買い揃える場面。1919年のニューオーリンズでは、もうすでにトレンチ・コートが売られていたんでしょうね。

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