ビフテキとブレイザー

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ビフテキということがありますよね。でも、少しばかり古風な印象があります。今なら「ステーキ」でしょうか。
「ビフテキ」は、三田村鳶魚著『幕末人の夜話』にも出てきますから、明治の頃から遣われていたものと思われます。
池田弥三郎著『私の食物誌』に、「ビフテキ」の話が出てきます。ある年の夏。箱根に避暑に。朝起きてホテルの食堂に行くと、メニューに「ビーフステーキ」と書いてある。これはこれはは、注文。でも、ビフテキが出てくるとあまりに小さく、あまりに薄いのでがっかりした、と結ばれています。
厚いビフテキについては、池田 潔著『イギリスについて』に出ています。

「昔からビフテキときまっているんだ、厚さ二寸五分、血の滴る座布團のやうな奴を黑ビールで流し込むんだ。」

これは、ケンブリッジ大学のOBの科白。ボートレースの選手として試合に勝つためには、厚いビフテキをと、諭している場面なんですね。それにしても二寸五分は、⒎5㎝くらいなんですが。それで、「座布團」ほどの。しかも朝、昼、晩と三回ともに、ビフテキ。まあ、それも時代というものなんでしょうね。『イギリスについて』には、こんな描写も。

「白地にカレージの色で縁をとつた夏のブレーザーをつけた學生達と………」

もちろん、ケンブリッジ大学の生徒のブレイザーを指しているわけです。夏に、白のブレイザー。いいものですよね。

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