カルピスとカンカン帽

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カルピスは、懐かしい飲物ですよね。昔のカルピスはビール壜に似た器に入っていて、青い水玉模様の包み紙の中に入っていました。
カルピスは濃縮されていて。硝子のコップの底に少し入れて、上から氷水を五倍ほど足して、飲んだものです。で、「ああ、これが初戀の味かあ………」と思った。「カルピスは初戀の味」というのが宣伝文句だったから。
黒人の男が商標になっていて、その黒人はパナマ帽を被っていたような記憶があります。カルピスは、大正八年七月七日に、売り出されたんだとか。
カルピスを考えたのは、三島雲海というお方。なんだかお坊さんみたいな名前ですが、れっきとした僧侶。今の、「龍谷大学」で仏教を学んでいます。三島雲海は明治三十五年に、モンゴルへ。ここでカルピスの元となる飲物に出会ったとのこと。大正四年に帰国して、カルピスの研究をはじめています。
カルピスの出てくる小説に、『霧の聖マリ』があります。「聖」の横に、「サント」とルビがふってあります。辻 邦生の連作長篇小説。

「相変わらずストローでカルピスを飲んでいた。」

この時代背景は、昭和十一年頃。この「ストロー」ほんとうの、麦藁を切り揃えたものだったと思われます。また、別のところに。

「男は赤いリボンのついたカンカン帽を両手で持ち、身体を右に傾げた。」

これはアメリカ帰りの「高村」という男の様子。考えてみればストローもカンカン帽も、結局は麦藁で出来ているんですが。
まあ、ボーターのリボンの色でもゆっくり考えてみるとしましょうか。

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