サーカスとサスペンダー

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サーカスは懐かしい娯楽ですよね。サーカスといえば、なぜか『美しき天然』の歌が聴こえてきます。

♬ 空にさえずる鳥の声…………

サーカスのテントではたいてい『美しき天然』の曲が流されていたものです。
サーカス circus は古代ローマに遡るとの説があります。古代ローマの円形劇場での見世物。「キルクス」 circus から「サーカス」の言葉が生まれたんだとか。それは「円形」の意味であったという。
サーカスが描かれた映画としては、チャップリンの『ザ・サーカス』があります。1928年の喜劇映画ですね。
『サーカス』はまた小説の題でもあります。三島由紀夫の短篇。昭和二十三年の発表。三島由紀夫は『サーカス』執筆中の心境を、こんなふうに書いています。

「エロティックなかしょが多いが、さういふ処をなるたけ濃厚に…………」。

友人の、三谷 信に宛てた葉書にそのように認めています。葉書の日付は、昭和二十年二月十九日になっています。三島由紀夫は『サーカス」を戦時中から書きはじめめていたのでしょうね。
昭和二十五年に発表された三島由紀夫の小説に、『青の時代』があります。これは当時、実際にあった事件を基に創作したものです。東大法科を優秀な成績で卒業した、山崎 某の「光クラブ」。昭和二十四年に大きな話題となったものです。この中に。

「片手をサスペンダアにかけ、片手をあげて、ようと言つた。」

これは物語の主人公が偶然、友人に出会う場面。ここからの想像ですが。戦後間もなくの東大生は、たいていサスペンダーを使っていたのかも知れませんね。
時にはサスペンダーで、きちんとズボンを穿いてみたいものですが。

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