ペコとパームビーチ

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ペコで、人形でといえば、ペコちゃんでしょうね。不二家の前に立っている、可愛い女の子。舌をペロッと出しているので、「ペコちゃん」。
ほんとうは、「ベコちゃん」からきているんだそうですね。「ベコ」は牛のこと。牛が舌を出す様子に似ているから。
あのペコちゃんは、フランスと関係があります。昔、「フランスキャラメル」というのがあって。その包装にフランス人形のようなお嬢ちゃんが描かれていた。「なんか、もう少し小さい女の子がいいなあ……」というので、ペコちゃんが生まれたんだそうですね。
ペコは人形以外にもあって。たとえば、「オレンジペコー」。もちろん、紅茶の種類。箱などに「OP」とあったなら、それはたぶん「オレンジペコー」のことでしょう。
オレンジペコーの茶葉を使って紅茶を淹れると、鮮やかなオレンジ色があらわれる。それで、「オレンジペコー」。ペコー Pekoe は、中国の高級茶葉だったから。中国の、「パイハウ」 白毫から、「ペコー」の呼び方がはじまったのですね。「白毫」は特に上等の茶葉で、その表面にはうっすらと産毛のような表面感があって。それで、「白毫」の名前で呼ばれたんだとか。
つまり「オレンジペコー」もともとは茶葉の等級の名称だったわけですね。オレンジペコーが出てくるミステリに、『チャーリー・モルデカイ』があります。英国の、キリル・ボンフィリオリが、1991年に発表した物語。

「お茶は美味しかった。ジョックはジャクソンのアッサムのフラワリー・ブロークン・お・ペコを手に入れ、熟練の手腕で淹れていた。」

もちろん探偵役の、チャーリーが紅茶を味わったところ。また、こんな描写もあります。

「サムはバミューダ・ショーツと絹のパームビーチ生地の薄いシャツを着ていた。サムは、チャーリーの友人という設定。
「パームビーチ」 Palm Beach は、本来、盛夏用のウーステッドのこと。アメリカの、「グッドオール・サンフォード」が売り出したので、その名前があります。
パームビーチは日本でも戦後間もなく大流行となって。俗に、「パンピース」とか、「パンピー」の名前でれたものです。
でも、パームビーチの絹で、シャツ生地もあるんですね。

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