森とモノグラム

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森は、林よりも木が多いところですよね。木が二つ並んでいると、「林」、三つ並んでいると、「森」になるわけですから。
森はまた、姓名でもあります。たとえば、森 茉莉。森 茉莉は私の大好きな作家です。どこがどんな風に好きなのか。うーん、と。ぜんぶ、好き。
森 茉莉は服装描写が多い。これも好きな理由のひとつです。森 茉莉は女の服装だけでなく、男の着る物にも多く、筆を割いています。

「フランスの伊達男たちの襟元を見ると、ネクタイをしている意識さえないようである。」

こんな風にはじまって、えんえんと「ネクタイ美學」について書いています。これは稀有のことではないでしょうか。
森 茉莉のお父さんが、森 鷗外。これは言うまでもありません。ただし、鷗外は筆名。本名は、森林太郎。実に「木」の多い名前であります。よく見ると、「木」が五つ並んでいます。
森 鷗外は、明治十七年から約四年間、ドイツに留学しています。このドイツ留学中に、どうも淡い恋があったようですね。エリスというドイツ人女性と。
この恋を小説に仕上げたのが、『舞姫』だと考えられています。
エリスは帰国後の森 鷗外を訪ねて日本に来ています。これはわりあい有名な話なんですが。
エリスはドイツ留学中の鷗外に、絹の「ハンカチ入れ」を贈っています。それは小金井喜美子著『鷗外の思ひ出』によって明らかです。小金井喜美子は、森 鷗外の妹。星 新一の祖母でもあります。

「「緑の繻子で作つた立派なハンケチ入れに、MとRのモノグラムを金糸で鮮やかに縫取りしたものが………………」。

いいですねえ。私なんぞ「ハンカチ入れ」はおろか、ハンカチそのものも持っていないていたらくですから、羨ましい限り。
それはともかく。昔の人は「ハンカチ入れ」にも、モノグラムをあしらったことがよく解りますね。

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