フォスフォレッセンスとブレイザー

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フォスフォレッセンスという言葉があるんだそうですね。なんだか舌を噛みそうですが。
phosphorescence と書きます。「燐光」の意味なんだとか。この「フォスフォレッセンス」を花の名前だとしたのが、太宰 治。つまり「フォスフォレッセンス」という花があると考えたわけです。太宰 治は1947年に、『フォスフォレッセンス』と題する短篇を発表しています。
『フォスフォレッセンス』は、口述筆記された小説。昭和二十二年の六月。太宰 治がビールを飲んでいるところに、編集者が。当時あった『小説日本』という雑誌の編集者が。ちょうどその日が原稿締切の日だったのです。
原稿は、一行もできていない。そこで、太宰 治は言った。「今から話すから、書き取ってくれ」。太宰は、ゆっくり、語りはじめて。それが今の、『フォスフォレッセンス』になったんだそうですね。
太宰 治と仲良しだったのが、田中英光。田中英光もまた、小説家。早稲田大学の出身。大学時代には、ボート部の選手。昭和七年のロサンゼルス・オリンピックにも出場しています。
そのロサンゼルス・オリンピックの経験をもとに書いたのが、『オリンポスの果実』。この中に。

「第一装のブレザァコオトに着更え、甲板に立っていると……………」。

これは船がハワイの港に着いた時の様子。『オリンポスの果実』には、「ブレザァコオト」の言葉が何度も出てきます。でも、「第一装」は、どう考えるべきでしょうか。「ブレザァコオト」にも、何種類かがあったのでしょうか。それとも「ブレザァコオト」自体が、「第一装」だと考えられていたのか。
それはともかく、「ブレザーコート」の言い方は、田中英光の『オリンポスの果実』からはじまっているのかも知れませんね。

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