クイーンとクリスタル

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クイーンはふつう、女王の意味ですよね。ところがミステリの世界での「クイーン」は、エラー・クイーンのことであります。
エラリー・クイーンでちょっとややこしいのは、作者名であると同時に、探偵の名前でもあることでしょうか。
エラリー・クイーン Ell ery Q u e en はもちろん、ペンネームであります。フレッド・ダネイと、マンフレッド・B・リーとの共同筆名。この二人は、ともに1905年生まれの従兄弟同士ということです。
エラリー・クイーンの第一歩は、1929年のこと。当時、ミステリ小説の懸賞があって、これに応募するために書いたのが、『ローマ帽子の謎』だったのです。『ローマ帽子の謎』は拍手喝采となって、二人はプロの作家として人気を集めるようになったものです。
エラリー・クイーンが1940年代はじめに発表した短篇に、『完全犯罪』があります。『完全犯罪』の一場面に稀覯本のオークションが出てきます。
物語の中では、ノストラダムスの『センチュリーズ』が、26,000ドルで、落札。それは、ノストラダムス自身の手で、カトリーヌ・ド・メディシスへの献呈の言葉が記されていたからなのですが。
『完全犯罪』には、こんな描写も出てきます。

「彼はそこにあった緑色の水晶のピンを調べていた。」

その水晶は、八角形にカットされて、金の台に嵌められて。裏には、「R G 1909」と刻印が。レイモンド・ガーテンのピンだと分かるわけです。
水晶は広く、クリスタル。ヘッドにクリスタルをあしらったピンなのでしょう。
たとえ宝石ではなくとも、時にはピンを挿して、クイーンの初版本を探しに行きたいものですね。

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