モンローと紋絽

モンローは、マリリン・モンローのことですよね。
Monroe と書いて「モンロー」と訓みます。
マリリン・モンローはもちろん、藝名。本名は、
ノーマ・ジーン・モンテンソン。
ノーマ・ジーンは1926年6月1日。カリフォルニア州、ロサンジェルスに生まれています。
戦後のノーマ・ジーンの仕事は、モデルだったと伝えられています。
その後、1950年になって、映画俳優に。
でも、女優としての人気が出たのは、1945年の映画『ナイアガラ』だったでしょう。「20世紀フォックス」のスリラー映画。この映画の中での「モンロー・ウォーク」が話題になったものですね。
その少し前、1953年にモンローが買った自動車が、キャディラックのコンヴァーティブル。1951年型。色はライム・グリーン。シートはゴールド色の馬革で。友人から、700ドルで譲ってもらったという。
当時、日本で『ナイアガラ』を観た作家に、吉行淳之介がいます。

「モンローが主演女優として映画に登場してきたのは、昭和二十年代の終りだったか、その半開きの唇には性感を覚えたがモンロー・ウォークには失笑した。」

吉行淳之介は『マリリン・モンロー』と題する随筆の中に、そのように書いています。
『マリリン・モンロー・ノー・リターン』を歌った作家が、野坂昭如。野坂昭如は『マリリン・モンロー・ノー・リターン』を歌ったのみならず、その随筆をも書いています。

「モンローが死んで、この世からやさしさが失せた。」

うーん、そんなものなんでしょうか。
向田邦子の随筆にも『マリリン・モンロー』がありまして。

「ケネディ大統領の誕生パーティー席上で、モンローがお祝の歌を歌うテレビを見た記憶がある。」

この同じ随筆の中で、向田邦子はこうも書いているのです。

「紋絽と聞こえたが、これはモンローの意味であろう。」

ある老紳士が七つくらいの女の子に。

「大きゅうなったら、モンロやなあ」

と言った。それが向田邦子には、「紋絽」に聞こえた。そんな内容になっています。
紋絽は織柄のある絽のこと。盛夏の生地。

「羅に似て飛文があり、仏僧の黒衣にする。」

江戸時代の百科事典、『和漢三才図会』には、そのように出ています。
江戸期にすでに、紋絽があったことが窺えるでしょう。
どなたか紋絽で夏の上着を仕立てて頂けませんでしょうか。