バースとバックスキン

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バース B ath はイギリスの温泉地の名前ですよね。イングランド南西部、サマセット州の、バース。とにかく古代ローマの時代にすでにあったというから、古い。
一説に風呂の「バス」も、このバースから来ているとか。いや、そうではないとか、賑やかであります。
温泉地、バースから生まれたものに、「バース・オリヴァー」があります。当時は、糖尿病を治すためのものだったと、伝えられています。バースの医師、ウィリアム・オリヴァーが考案したので、「バース・オリヴァー」それ以前には、単に「オリヴァー」とも呼ばれたそうですが。
十八世紀のバースで、「キング・オブ・バース」と謳われたのが、リチャード・ナッシュ。あまりにも洒落者なので、人呼んで「ボオ・ナッシュ」とは、この人のことであります。とかく風紀が乱れがちな温泉地にルールを定めて、美しい街にしたのも、ボオ・ナッシュのおかげだったと、考えられています。
バースではなく、バスの話。オムニバスの、バス。町中を走っているバス。停留所の場所さえ分かっていれば、なかなか便利な乗物です。バスが出てくる小説に、『聖少女』があります。倉橋由美子の傑作。倉橋由美子が、1965年に書いた名作。この中に。

「暗くなりかけた路上を労働者たちがバス・ストップにむかって歩いていた。」

『聖少女』は、どこを切っても、倉橋由美子の乾いた色を感じさせる創作でしょう。
倉橋由美子は同じ年に、『結婚』も発表しています。この中に。

「 「そうですか」とLはおきあがり、バックスキンの細いスラックスをはいて………………」。

バックスキンのスラックス。いいですねえ。もちろん本来は雄鹿の革。雄鹿の革は表に傷があったりするので、多く裏側を使う。でも、伸縮性に富み、暖かく、スラックスにも最適でしょう。
バックスキンのトラウザーズで、バースに行くのは、夢物語ではありますが。

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