珈琲とコンチャ

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珈琲は、美味しいものですよね。ことに日本の珈琲は、美味であります。フランスでもイタリアでも、「カフェ」。カフェのない一日はまず考えられません。カフェとともに一日がはじまり、カフェとともに一日が終わる。そんな感じさえあります。
一方のイギリスは紅茶国。イギリスの一日は紅茶ではじまり、紅茶で終わる。
でも、そもそもの歴史から申しますと、珈琲はフランスよりイギリスのほうが早いのです。
少なくとも、1652年には倫敦で珈琲店が開かれています。その珈琲店は、コーンヒル広場、セント・ミカエル寺院の前にあった。トルコ人の、パスクワ・ロセという人物がはじめた。
というのは表向きの話で、実際にはダニエル・エドワードの店でありました。ダニエル・エドワードは貿易商人で、トルコの町で珈琲の味に魅せられて。それで、パスクワ・ロセを珈琲を淹れるために連れ帰ってものなのです。
こんなに美味いものならと、店を出させたのが、1652年のことだった。
これに対してフランスに珈琲が伝えられるのは、1669年のこと。ルイ十四世の時代。トルコ大使、ソマリン・アガがルイ十四世に献上。
ルイ十四世は、このトルコ大使に会うのに、数ヶ月も待たせています。謁見のための凝って服装を仕立てさせていたので。つまりルイ十四世のおしゃれのために、フランスへの珈琲伝来は、何ヶ月か遅れたわけでありますが。
珈琲が出てくるミステリに、『ゲームの名は死』があります。ダン・J・マーロウが、1962年頃に発表した物語。

「 「デザートはアップル・パイにする? それともコーヒー?」 」

これは、主人公が「デキシー・ピッグ」という食堂で食事をした後、ウエイトレスに訊かれる場面。また、こんな描写も出てきます。

「貝殻を型どった銀色の鋲を打ちこんだカウボーイ・ブーツをはいていた。理由はないのが、その靴を見てこの店の繁盛ぶりがわかるような気がした。」

この「カウボーイ・ブーツ」は、ウエイトレスが履いているもの。「貝殻を型どった銀色の鋲」は、たぶんコンチャのことでしょう。ウエスタン・スタイルにはよく見る装飾ですよね。コンチャ c onch a 。これはスペインの風習がアメリカ西部に伝えられたもの。
コンチャは、貝殻。つまりお金の象徴。コンチャを身につけていると、裕かになると、考えられていたのです。
コンチャの飾りのあるベルトを締めて、美味しい珈琲を飲みに行くとしましょうか。

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