古書と凝る

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趣味は古書とおっしゃるお方もいらっしゃいますよね。でも、古書なのか古本なのか。
私は勝手に古書と古本は別物だと考えています。古書はガラス棚に鎮座ましましている御本。ふつうの棚に雑然と並んでいるのが、古本。もちろん私はもっぱら古本派なのですが。ガラス棚の中の古書は、はるか遠くから仰ぎ見るだけであります。
古書と古本で大成功した町が、英国の、ヘイ・オン・ワイ。H ay- on-Wy e と書きます。ヘイ・オン・ワイの成功譚は、あまりに有名でしょう。
1960年代のはじめ、リチャード・ブースが一軒の古書店を開いて、やがて世界的な「古書の街」に。リチャード・ブースが古書店を開くまでは、典型的な過疎の村だったのですから。
1989年に、ヘイ・オン・ワイを旅した日本人に、逢坂 剛がいます。
『古書の町 ヘイ・オン・ワイ』と題する随筆に、次のように書いています。

「人口わずか千人の小さな町に、今や大きな古書店だけで十四軒を数え、総在庫書籍数は百万冊を超えるというから、確かに神保町に匹敵する規模といってよい。」

「百万冊」は、魅力的ですね。並みの図書館が束になっても叶わないかも知れません。
古書が出てくるミステリに、『イアン・フレミング 極秘文書』があります。2007年にミッチ・シルヴァーが発表した物語。

「エイミーの思いは、古書店のシールズと彼の“ 発見 ” へと移った。」

これはある稀覯本を巡っての話。また、『イアン・フレミング 極秘文書』には、こんな描写も出てきます。

「グレイのスーツに糊のきいた白いカラー、紺に白い水玉の蝶ネクタイ ー 少し凝りすぎの印象を抱いたが ー をゆったり締めていた。」

時には、グレイのスーツも着ますが。多少は凝ってみたいし。でも、凝りすぎは気障らしいし。手前で、凝る。なかなか、難しいものですね。
まあ、凝りすぎない着こなしで、古書店に旅するとしましょうか。

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