ボオドレエルとボタン

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ボオドレエルは、フランスの詩人ですよね。。

君は清かに薔薇色に澄みわたりたる秋の空。
さはれ愁はわが胸に潮のごとく満ち来たり、

これはボオドレエルの、「語らひ」と題された詩の一節です。たしかにボオドレエルは詩人だったのですが。同時に、ダンディでもあった人物。十九世紀に、イギリスからフランスにダンディズムが伝えられた時、大いに賛同したひとりが、ボオドレエルだったのです。

「彼の服装には理論に基づかないような襞は一つもなかった。」

ボオドレエルと同級生だった、シャルル・クーザンという人物は、そんな風に語っています。
ボオドレエルはいつも黒い上着で、前ボタンが十二個。その第一ボタンを必ず留めて着たとのこと。
ボオドレエルが出てくる小説に、『裏切られた遺言』があります。1993年に、ミラン・クンデラが発表した物語。

「バルザックも、スタンダールも、ボードレールも偉大な作家として認めることができなかった。」

これは、サント=ブーヴについて。また、『裏切られた遺言』には、こんな描写も出てきます。

「ボタンを全部きちんと締めたダーク・スーツを着て…………………。」

スーツのボタンをどんな風に留めるのか。これにもいろんなやり方があるんでしょうね。
十九世紀の英國紳士は、いくつのボタンであろうと、いちばん上だけを留めるのが粋、と考えていたようですね。
とりあえず上着のボタンを留めて、ボオドレエルの詩集を探しに行くとしましょうか。

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