ホワイトとホイップコード

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ホワイトは、白のことですよね。白から連想するものに、白墨があります。
むかし小学校にはまず例外なく黒板があって。黒板の上に先生が文字を書いて、教えてくれたものです。
白墨はなにも教室だけで使うわけではなくて。仕立屋にも大いに関係があります。布地の上に白墨で線を引く。この線に沿って、鋏を入れるわけです。
この時、仕立屋が使う白墨のことを、「テイラーズ・チョーク」と言います。いろんな形、いろんな色がありますが、多くはおむすび型で、白。
生地の上に引かれた白い線。これがヒントになって、今の「チョーク・ストライプ」が生まれたのでしょう。つまり、あの白い線は、テイラーズ・チョークの雰囲気を尊重してのことなのです。
まだ紳士服には無地が多かった時代からの縞柄。だからこそ、古典柄とされるのでしょう。
「ホワイト・カラー」が事務職を指し、「ホワイト・タイ」が燕尾服を意味する。白にはなにかとお世話になっているわけです。
英語に、「トゥ・ヒット・ザ・ホワイト」の言い方があるんだそうですね。「的を得ている」の意味。むかし、洋弓が盛んだった時代。的の中心が白だった。そこで、「トゥ・ヒット・ザ・ホワイト」は、「的を得ている」の形容として使われるんだとか。
白が出てくる小説に、『ピンフォールド氏の試練』があります。英国の、作家、イーヴリン・ウォーが、1957年に発表した物語。

「 白服を着るには紅海に入るまで待たなければなりません」

これはスティヤフォース船長が、ピンフォールド氏に対しての科白。船上では季節によって船長が白服がどうかを、決めたものと思わます。また、『ピンフォールド氏の試練』には、こんな描写も出てきます。

「トウィードの上衣に畦織りのズボンをはいた、まだそれほどの年でもなさそうな男が出てきた。」

「畔織りのズボン」。さて、何でしょうか。私は勝手にホイップコードではないかと、想像しているのですが。ホイップコードは、丈夫な、やや粗い、急勾配の、綾織地のこと。しっかりしているので、昔はよく乗馬ズボンなどが仕立てられたものです。
たまには白のホイップコードのトラウザーズを穿いてみたいものですね。

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