マドロスとマッキントッシュ

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マドロスは、船員のことですよね。1957年に、美空ひばりが歌った『港町十三番地』にも、「マドロス」が出てきます。

「又日ニ三次マトロスニビールト云フ酒を与フ。」

玉虫左太夫著『航米日録』にも、そのように出てきます。つまり万延元年に、玉虫左太夫は、「マトロス」が船員であることを、知っていたのでしょうね。
日本語の「マトロス」は、オランダ語の「マトロース」 m atr o osから。つまり、はじめマトロスで、やがて訛って「マドロス」になったものです。
幕末から明治のはじめにかけて、「マドロス英語」というのがあったらしい。たとえば、「ウエス」。雑巾に似た布のことを「ウエス」。これは幕末、横濱のマドロスから、耳で聞いた言葉、
「ウエイスト」 w ast e が、「ウエス」に聴こえたから。あるいは、「タンツー」。これは「仕事はじめ!」のこと。彼らの「ターン・トゥ」が「タンツー」になったのでしょう。
マドロス、つまり船員が出てくる小説に、『八十日間世界一周』があります。1873年に、ジュール・ヴェルヌが発表した物語。とにかく、ほとんど船旅なんですから。

「甲板にあがって乗組員の作業を手伝い、猿のように身軽な動きでマストにのぼって水夫たちを驚かせた。」

『八十日間世界一周』には、そのような一節があります。あるいは、また、こんな描写も出てきます。

「あとはマッキントッシュの防水コートと旅行用の毛布を出しておいてくれたまえ。それから、履きやすくて丈夫な靴を…………………。」

これは旅支度をしている場面。1870年頃のフランスに、すでにマッキントッシュが知られていたことが分かるでしょう。
時には、マッキントッシュを羽織って、気分を味うとしましょうか。

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