クリスマスは、毎年の12月25日のことですよね。イエス・キリスト様が、お生まれになった日だと信じられています。
クリスマスはまた、「降誕祭」とも。辻 邦生の随筆に、『基督降誕祭前後』があります。この中に、「静修」という言葉が出てくるのですが。フランスの聖心女学院では毎年、12月25日までの、九日間、「ヌーヴェン・シランス」を行うんだそうです。「聖なる静謐」とでもいえば良いのでしょうか。そしてそれはキリスト教の修業でもありますから、「静修」となるのでしょう。
でも、なぜ、『基督降誕祭前後』に、「静修」が出てくるのか。
1959年に、辻 邦生は、12月24日の深夜、ウイーンにいて、いわば「静修」にも似た体験をしたから。
「店という店は閉り、わずかに大聖堂の前にソーセージを売る屋台が店をひらいているだけだった。」
12月24日の深夜。「静修」を自分なりに祈る。これもまた、降誕祭のひとつでしょう。
アメリカの、ヴィニア・デルマーの小説に、『ある降誕祭』があります。1931年に、牧 逸馬が日本語に翻訳しています。
「エディへは? 赤と青との大學縞のネクタイがもつて來いだ。」
もちろん、クリスマスの贈物を考えている場面。「大學縞」は、たぶんクラブ・タイのことでしょう。
降誕祭には、クラブ・タイを結んで、「静修」をいたしましょうか。