ブラジャーとブレイザー

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ブラジャーは、女性下着のひとつですよね。男にはまず関係ない代物であります。
男の下着は、単純にして素朴。そこにまいりますと姫君の下着は複雑怪奇とは申しませんが。百花繚乱、典雅流麗、まことお美しいものが多いようです。
ブラジャー br ass i er e は、英語。これはフランス語のブラジャー br ass ière をほぼそのままに、英語化したもの。少し極端に申しますと、本来の英語には「ブラジャー」に相当する言語は、そんな感じであります。
フランス語のブラジャーは、「腕着」の意味。腕に着る衣裳。つまりは間接語。口にしにくいことを、やんわりと遠回しに表現するわけです。では、今日のフランスで「ブラジャー」の言葉が用いられるのか。ノンであります。
ふつう、「スーティン・ゴルジェ」 s o ut in g org e と申します。スーティンは「支え」ゴルジェは「喉」。要するに、「喉支え」と言いあらわすのです。この、「スーティン・ゴルジェ」のフランス語はだいたい1904年頃から一般に使われるようになったんだとか。
でも、実際にはスーティン・ゴルジェともあまり口にはしません。百貨店などを眺めましても、ただ「スーティン」と書いてあったり。日本語なら「支え」でしょうか。女性の下着売場で「スーティン」とあったなら、それは他ならぬブラジャーのことであります。

「厚い、滑らかな脂の浮いた背を齋田にむけたまま、小雪はかがんでブラジャー一つの上體にシミーズを頭からかぶる。」

平林たい子が、1950年に発表した『夢みる女』の一節。たぶん小説に描かれた「ブラジャー」としては、比較的はやい例かと思われます。余談ですが、この文章は、女性でなければ書けないものです。
ブラジャーが出てくる小説に、『朝食にはチョコレート』があります。1956年に、アメリカの、パミラ・ムーアが書いた物語。

「今日のアメリカでたって一つ『革命的』になれるのは、新しいブラジャーくらいのものです」

これは、ミス・ローゼンの発言なんですが。
また、『朝食にはチョコレート』には、こんな描写も。

「コートニーは腰をおろして、ブレザーを脱いだ。」

これはおそらく、「ブレイザー 」のことでしょう。女に必ずブラジャーが必要であるように、男には正しいブレイザー が不可欠です。

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