紳士とシグネット

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紳士は、ジェントルマンのことですよね。これだけで終わればよろしいのですが。ジェントルマンとは、何か。これが難しいのであります。
いっそ日本人なら、「武士」に置き換えてみたほうが分かりやすいのかも知れませんね。ちょうどヨオロッパに「騎士道」があったように。
紳士とは現代の武士道である。そう言っても大きな間違いではないでしょう。
それはともかく日本人はいったいいつの頃から「紳士」を知っていたのか。たとえば、明治六年頃には。

「当時倫敦ノ名卿紳士ハ多ク此地ニアリテ、避暑ヲナスモノ多キヲ以テ………………」。

久米邦武著『米欧回覧実記』には、そのように書かれています。これは、ブライトンでの見聞。1873年7月17日のところに、そのように出ています。
少なくとも「紳士」が何であるか、分かっていたに違いありません。また、『米欧回覧実記』には、ウール工場見学についても、詳しく書いています。

「其羊毛ハ遠ク豪洲ヨリ輸入シ…………………。」

とはじまって、事細かく、観察していることが窺えるのですが。
紳士が出てくる小説に、『荒涼館』があります。英國の文豪、ディケンズが、1852年頃に発表した長篇。

「彼ほど強大な準男爵は世にいない。家柄に古いことは山におとらず、その高さたるや山などの遠く及ぶところではない。」

ディケンズは、「デッドロック家」について、このように書きはじめています。ただ、財産があるだけも………………。
また、『荒涼館』には、こんな描写も。

「黒ずくめの洋服に白いネクタイ、時計のくさりにさげた大きな金の飾り印鑑、金ぶちの眼鏡、それから小指には印鑑指輪をはめていました。」

ある「紳士」の様子。「印鑑」は、シグネットのことでしょうね。
とても、紳士にはなれそうもありません。せめて、シグネット・リングでも嵌めてみるといたしましょうか。

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