ステッキとスゥエード

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ステッキは、杖のことですよね。でも、杖はむかしから日本にもあったでしょうから。正しくは、「洋杖」というべきかも知れませんが。つまりは、西洋の杖が、「ステッキ」。
英語のステック st ick が訛って、「ステッキ」になったもの。これもほんとうは、ウォーキング・スティックを短くしたところからはじまっているのでしょうね。
ウォーキング・スティックは、剣と傘との中間にあります。
中世の騎士は皆、剣を携えた。一方、二十世紀の紳士は細巻の傘を持った。身分の象徴として。「先祖を辿れば騎士の身分だった」と。
この剣と傘の間をつなぐのが、ケイン c an e 。つまり、ウォーキング・スティックであります。ウォーキング・スティックもまた、地位の象徴だったのですね。
幕末から明治になって、このウォーキング・スティックも入ってきたのでしょう。

「鳶合羽で羊角燈を提て、ステツキをついて出てくる定九郎が黑仕立てのヅボンマンテル…………………。」

山口又一郎著『開花自慢』には、そのように出ています。『開花自慢』は、明治七年の刊。
山口又一郎の原文にはなぜか、「羊角燈」となっています。これは、たぶん「ランタン」のことかと思われるのですが。洋の代りに「羊」の字を使ったのでしょうか。
それはともかく、「ヅボンマンテル」とありますから、西洋服を着ているのでしょう。西洋服だからこそ、「ステツキ」がお似合いなのでしょう。たぶん『開花自慢』は、「ステツキ」が出てくる物語の、比較的はやい例でしょう。
ステッキが出てくるミステリに、『連鎖反応』があります。1998年に、フレッド・カサックが発表した物語。

「ボタンホールにはカーネーションが一輪。ステッキにシガレットホルダーを持って。」

これは、ジルべールという人物の様子。また、『連鎖反応』には、こんな描写も出てきます。

「淡いグリーンのスエードのベスト、赤いシルクのネクタイというとり合わせだった。」

これはある会社の部長、ボーマノワールの着こなし。スゥエード s uèd e のジレ、いいですね。
スゥエードは、もともとスゥエーデンで鞣された手袋革の名前だったそうです。
「淡いグリーン」とは限らず、好みの色のスゥエードのジル、着てみたいものですね。

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