紫檀は、ローズウッドのことですよね。ローズウッドは、丈夫で、永持ちする材木なんだそうです。たとえば、ビリヤードのキューにも使われるんだという。さらには、木管楽器にも。
紫檀から義経を想うお方もいらっしゃるでしょう。
「都には春が来たのに、吉野山はまだ冬であつた。」
作者不詳の古書『義経記』に、そのように出ています。もちろん訓みは、「ぎけいき」。源 義経の事柄を伝える書物ですね。
義経は落ちのびて、吉野の山中に。まだ、険しい道が続く。義経は、静御前を伴っている。義経は家来たちの手前もあって。静を、ここから返そうと。弁慶も、その考えに、賛成。その別れに際して義経は静に、名品の鼓を与える。「初音」の銘のある鼓を。
「中でも、格別大事にしていた紫檀の胴に羊の皮を張った、啄木組の美しい調べの緒のついた鼓を与えて言つた。」
『義経記』には、そのように綴られています。
まあ、ちょっと涙腺のゆるむところですが。
紫檀が出てくるミステリに、リース・デイヴィス著『選ばれた者』があります。
「それから紫檀でできた旅行用の書き物机がひとつ。」
また、『選ばれた者』には、こんな描写も。
「新しい木綿のズボンをはき、しゃれたジャンパーを羽織る。緑いろのスエードでできたこのジャンパーに、一週間分以上の賃金がふっとんだのであった。」
「緑いろのスエードのジャンパー」。憧れますねえ。
なにか好みのブルゾンで、紫檀のステッキでも探しに行くとしましょうか。