アメリカとアストラカン

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アメリカは、米国のことですよね。でも、どうして「米国」がアメリカの意味になるのか。
これは昔の宛字と関係があるみたいですね。以前はアメリカのことを、亜米利加と書いた。この亜米利加をさらに略して、米国。
亜米利加と書く前には、亜墨利加とも書いたらしい。もしもこれを略していたなら、「墨国」になっていたのでしょうか。
米国があれば、英国もあります。これもまた、英吉利の略字からはじまっているものと思われます。
米国と英国。似ているようで違う、とはよく言われるところですね。ファッションのほうでも、アメリカの「ヴェスト」と、イギリスの「ウエイストコート」だとか。イギリスにもヴェストがないわけではありませんが、それは「下着」の意味になります。
ここに、ジェーン・ウォームズレー著『イギリス的生活とアメリカ的生活』があります。この中に。アメリカへ行ったイギリス人が絶対にしてはいけないことが、いくつか出ています。
著者のジェーン・ウォームズレーは、アメリカに生まれ、アメリカに育ち、イギリス人と結婚し、イギリスで暮らしている女性なのですが。
イギリス人がアメリカのレストランに行って、食後。
「さて、プディングは何にしようか?」と、言ってはならない。イギリス人の「プディングは何に?」は、誤解を招く。意味不明。
イギリス人の言うところの「プディング」の意味は、デザートのことなのですね。
イギリスに行ったアメリカが絶対に理解できないことは、「薄着」。「それで、寒くないの?」。
たしかに、イギリス人は寒さに強い。めったに暖房温度を上げようとはしない。これは電気もそうで、よほど暗くなってからでないと、電気を点けることをしません。
まあ、お国柄の違いなのでしょう。アメリカ人は少しでも寒かったり、暗かったりするのが、お嫌いのようですね。
アメリカが出てくるミステリに、『略奪』があります。アメリカ人の、アーロン・エルキンズが、1999年に発表した物語。

「わたしは彼にとって、歩くアメリカン・ドリームのようなものだったに違いない、と思っている。」

うーん。このあたりの表現も「アメリカ的」なのかも知れませんが。
また、『略奪』には、こんな描写も。

「アストラカンを目の下まで引くあげたのっぺりと平板な彼らの顔は………………………」。

これは第二次大戦時の、ロシア兵の様子。
「アストラカン」 astr akh an は、毛皮のひとつ。色は、黒。強い巻毛に覆われているのが、特徴。多く、外套の襟に使われたものです。
その昔、ロシアの、アストラハン港が輸出港だったので、その名前があります。

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