奇巌城とキャスケット

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奇巌城は、モオリス・ルブランの長篇小説の題ですよね。
1908年の『ジュ・セ・トゥ』誌11月号に発表。『奇巌城』は長篇ですから、1909年の5月号まで連載されたものです。
『奇巌城』の原題は、『レギュイユ・クルーズ』L’Aig u ill e cr e us e 。直訳いたしますと、
「穴の開いた針」。
「穴の開いた針」ではどうにも理解しにくいので、『奇巌城』。これは大正八年に翻訳をした、保篠龍緒の名案によるものです。
『奇巌城』は歴史に遺る名訳で、今なお使い続けられていることからも、それが窺えるでしょう。
「奇巌城」すなわち、「レギュイユ・クルーズ」は、実在の地名。不思議な形の岩なのです。フランスのエトルタに位置しています。
作者の、モオリス・ルブランは、1864年12月11日。フランスのルーアンに生まれています。ルーアンからエトルタの「奇巌城」はさして遠くはないのです。事実、若い頃の、
モオリス・ルブランは自転車でよくエトルタまで出かけてもいるそうです。
エトルタと、奇巌城には昔から伝説があって、ルブランもその伝説を耳にしていたらしい。
「奇巌城の伝説」とは。歴代のフランス国王の財宝が秘密裡に隠されているというものだったのです。
一説によれば。まったくの偶然のことから「奇巌城の財宝」の秘密を知ることになったのが、ジャンヌ・ダルク。1431年5月10日。ルーアンでジャンヌ・ダルクが火あぶりの刑に処せられたのも、実はそのためであったという。
「奇巌城の財宝」がどこまで史実であるのかは、さておき。モオリス・ルブランの
『奇巌城』では美事に財宝が発見されています。

「目がくらみそうだった。あらゆる宝石がきらめき、あらゆる色彩が燃えあがっていた。サファイアの青、ルビーの紅、エメラルドの緑、トパーズの黄色。」

小説の『奇巌城』の中では、「奇巌城の財宝」は、ほんとうだったわけですね。今度、
エトルタに行くことがあったなら、「奇巌城の財宝」を見学してきてください。
『奇巌城』の中に。

「フィーユール氏は暖炉の上の皮のハンチングを手に取って調べていたが、巡査部長を呼んで、だれにも聞こえないように命じた。」

その「皮のハンチング」が、誰が買ったものか、ディエップの「メグレ帽子店」で、訊いてくるようにと。まさか、メグレ警部の親戚ではないのでしょうが。
どなたかイエローの、レザーのキャスケットを作って頂けませんでしょうか。
名前はやはり「ルパン」にしましょうかね。

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