空は、スカイのことですよね。空は青いことになっています。
「ブルー・スカイ」というではありませんか。
1926年に、アーヴィング・バーリンが作曲した名曲にも、『ブルー・スカイ』がありますよね。
空は広い、大きい。歩いても歩いても、空はどこまでもついてきますからね。もう空が終ってしまう所まで歩いた人はいないのではないでしょうか。
空の雄大さから逃げられることはできないのです。
芭蕉の名句に。
旅人と 我名よばれん 初しぐれ
というのがあります。
これは、宝永六年に出された『笈の小文』に収録されている佳句であります。
松尾芭蕉はいったいどんな心境で、この句を詠んだのか。
「神無月の初、空定めなきけしき、身は風葉の行末なき心地して」
芭蕉は『笈の小文』に、そのように書いています。
貞享四年十月のことです。西暦で申しますと、1687年のこと。
わたしは大空の下の、風に舞う葉のようなものです。ざっと、そんな意味でしょうか。
まったくの偶然ですが、芭蕉の高弟に、曽良がいました。曽良は、『奥の細道』には同行しているのですが。
『笈の小文』は、やはり高弟の、支考が整理したものではないかと考えられています。
空を詠んだお方が芭蕉だと致しますと。空を描いた人物に、ゴッホがいるのではないでしょうか。
ヴィンセント・ファン・ゴッホは、1889年6月に、『星月夜』を完成させています。
73×92㎝のキャンバスの三分の二以上、空、月、星が描かれている名画。現在は、
ニュウヨーク「近代美術館」所蔵となっているものです。
ゴッホには何枚かの『星月夜』があります。また、特に題は違っていても、印象としては
「空」を想わせる絵が少なくありません。
たとえば、『夜のカフェテラス』にも、空が描かれているように。これはゴッホが、
1888年9月に、アルルで描いた作品ですね。
「白い雲と奥に山のあるオリーブ樹、月の出、夜の効果とは、整理の点で誇張したところがあり、古い樹の年輪のように線で囲まれている。」
1889年頃。ゴッホは弟のテオに宛てた手紙の中に、そのように書いています。
サン・レミのゴッホから、巴里のテオに。「第六○○信」の手紙の中に。
ゴッホが出てくるミステリに、『ゴッホは欺く』があります。2005年に、
ジェフリー・アーチャーが発表した長篇。この中に。
「ダーク・ブルーのスーツに無地のシルクネクタイをしめた日本人男性グループが………」
そんな描写が出てきます。無地は、「ソリッド」s ol id でしょうか。
ソリッドはあらゆる柄の中で、もっとも静謐な柄であります。沈黙の中に、大いに雄弁な柄でもあるのです。
ソリッドの場合、どうしても「質」が強調されてしまうのであります。
どなたか上質のソリッドでスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。