サンドイッチとサテン

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サンドイッチは、便利な食べ物ですよね。
パンとパンとの間に、なにかを挟むと、それでサンドイッチになるのですから。
サンドイッチに大きく分けて二種類があります。「耳」なしサンドイッチと、「耳」ありサンドイッチと。
食パンの「耳」を落とすのか、落とさないのか。食パンの「耳」を落とした場合、「耳」の部分を油で揚げる方法があります。揚げた「耳」に粉砂糖を振って食べると、うまいものです。
「耳」を落として作るサンドイッチに、胡瓜のサンドイッチがあります。そうです。キュウカンバー・サンドイッチ。キュウカンバー・サンドイッチは、英国を代表する食べ物とも言えるでしょう。
キュウカンバー・サンドイッチは、小さくて、薄いのが特徴。中に挟む胡瓜も薄く、小さく、それを挟むパンも小さい。なんだかおままごとのサンドイッチみたいなのです。
小さいサンドイッチは、置いておくと乾くのが欠点。上の食パンが上に反り返ったりして。それを防ぐための方法が、濡れ布巾。サンドイッチの上に、少し濡れた布巾を被せておくと、しっとりとした状態を保ってくれます。

胡瓜のサンドイッチが出てくる芝居に、『真面目が肝心』があります。
1895年に、英国のオスカー・ワイルドが発表した戯曲。この劇のはじめに、キュウカンバー・サンドイッチが登場。
なぜ、『真面目が肝心』に、胡瓜のサンドイッチが出てくるのか。それは『真面目が肝心』の背景が、十九世紀の英国上流階級であるからです。
つまり当時のキュウカンバー・サンドイッチは、上流階級の象徴でさえあったから。

イギリスの小さなサンドイッチと対照的なのが、アメリカのサンドイッチ。「サブマリン」などをはじめとして、アメリカのサンドイッチは、大きい。充分、食事代りになります。少なくとも英国のサンドイッチは、食事代りではありません。

サンドイッチが出てくるミステリに、『“シラノ“の拳銃』があります。1936年に、レイモンド・チャンドラーが発表した短篇。

「マルバーンはうすぐらい灯りの中で、飲物をすすり、サンドウィッチをぱくついた。」

ここでのテッド・マルバーンは、私立探偵。まだ、フィリップ・マーロウが登場する以前の物語なのです。ただ、どんなサンドイッチなのかは、よく分かりませんが。

レイモンド・チャンドラーの『”シラノ“の拳銃』29読んでおりますと、こんな描写が出てきます。

「ロッカーから黒のサティンのシャツをとって着た。」

これはボクサーのデューク・ターゴの様子として。試合の後、シャワーを浴びて、私服に着替える場面。
たぶん「サテン」s at in のことなのでしょう。サテンは、繻子地のこと。中世以来、愛用されている布地です。もともとは、当時の照明をより多く集める目的で、織られるようになった生地なのです。つまり、光に映える素材だったのであります。
もちろん、女性のドレス地と決ったわけではありません。
どなたか深くグリーンの、サテンのシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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