シーガルは、かもめのことですよね。
seagull と書いて「シーガル」と訓みます。
そもそも「ガル」自体に「かもめ」の意味があるんだとか。「うみかもめ」ということなのでしょうか。かもめにも多くの種類があるそうですからね。
「ゆりかもめ」もまた、そのひとつ。わりあい小型のかもめなんだそうです。
電車に「ゆりかもめ」があるのは、ご存じの通り。ゆりかもめに乗って移動。そんなふうに考えれば、愉しいものではありませんか。
かもめは電車ばかりではなく、演劇にもあります。
1896年に、アントン・チエホフが発表した戯曲。『かもめ』といえばチエホフ、チエホフといえば『かもめ』。それくらい有名な芝居ですね。
日本では大正十一年(1922年)に上演されています。
この時、裕福な地主の娘「ニーナ」を演じたのが、水谷八重子。
「私が出演しましたのは、大正十一年七月に有楽座で上演したチェホフの「かもめ」と、」
水谷八重子の『自伝』にそのように出ています。水谷八重子、十七歳の時に。
1969年に寺山修司が発表した詩に、『かもめ』があります。
「海で死んだひとは みんな かもめになってしまうのです」 これはダミアの古いシャンソンの一節です。
寺山修司の『かもめ』は、そんなふうにはじまる詩なのですね。
Damia は1889年に生まれたフランスのシャンソン歌手。
1953年には日本にやって来ています。人気があったので。
1920年代にダミアが歌ってヒットしたのが、『暗い日曜日』。この歌い方があまりに真に迫っているので、発禁になったほど。
寺山修司はなぜかかもめがお好きだったらしく。かもめの詩をいくつか創っています。
1975年の詩にも、『かもめ』があります。
おいらが贈った薔薇は 港町にお似合いだよ たった一輪ざしで色あせる かなしい恋人の 血の薔薇だもの
かもめかもめ 笑っておくれ
そして最後に。
かもめかもめ さよなら あばよ
そんなふうに締めくくる詩になっています。
この詩はたしか、浅川マキが歌っていたような記憶があるのですが。
寺山修司は青森の港町で少年期を過ごしています。ここに出てくるかもめは、きっと青森の海のかもめだったのでしょうね。
かもめが出てくるミステリに、『サムソン島の謎』があります。1954年に、アンドリュウ・ガーヴが発表した物語。
「彼のブルウのメリヤススウェターを見ると、ターン号という下に、シーガル号という名前の縫いとりがあった。」
これは「バーニイ」という船員の服装について。
また、『サムソン島の謎』にはこんな描写も出てきます。
「日に焼けてごつごつした脚は長ズボンを切り取ったと思われるグレイのフランネルのショート・ズボンでつつまれていた。」
ここでの「ショート・ズボン」は、「ショート・トラウザーズ」のことなのでしょう。
どなたかかもめのような純白のショート・トラウザーズを仕立てて頂けませんでしょうか。