ジョゼフは、男の人の名前にもありますよね。たとえば、ジョゼフ・コットンだとか。もちろん、アメリカの映画俳優であります。
「コットン」というくらいですから、おしゃれにも興味があったのでしょう。Cotten と綴りは少し違いますが。
1949年の名画『第三の男』にも出ていましたね。作家のホリー・マーティン役で。『第三の男』のなかで、ジョゼフ・コットンは、ダッフル・コートを着る場面があったのを覚えています。
同じくジョゼフで、作曲家といえば、ジョゼフ・ラヴェルでしょうか。ジョゼフ・モオリス・ラヴェル。
ジョゼフ・モオリス・ラヴェルは、1875年3月7日、午後10時に、シブールに生まれています。シブールはやがてスペイン国境に近いバスクの村でありました。
古今東西の音楽家の例にもれず、ラヴェルもまた幼い頃から音楽の才能を発揮していたという。
1889年11円4日には、「パリ音楽院」に入学が認められています。その時、十四歳のラヴェルは、ショパンのポロネーズを弾いて、教授たちを驚かせたと伝えられています。
巴里でのラヴェルは、エリック・サティにも会っています。
「サティは非常に鋭い知性の持ち主でした。」
ラヴェルは後にそのように語っています。
モオリス・ラヴェルで特筆すべきは、第一に、洒落者であったことです。音楽家であろうとなかろうと、十九世紀から二十世紀にかけての人物で、類い稀なダンディであったのです。
「ワイシャツ六十枚、靴二十足、ネクタイ七十五本、パジャマ二十五着などが入っていて」
2006年に、ジャン・エシュノーズが発表した『ラヴェル』に、そのように出ています。これはアメリカ旅行への旅支度として。
また、『ラヴェル』には、こんな文章も出てきます。
「若い頃、黒のスーツにおどろくようなベストにひだ飾りのついたシャツを着て、オペラハットをかぶり、バター色の手袋を嵌めた姿が残っている。」
オペラハット。フランス語なら、「ジビュス」でしょうか。
どなたか1930年代のジビュスを再現して頂けませんでしょうか。