ベーコンは、人の名前にもありますよね。たとえば、フランシス・ベーコンだとか。フランシス・ベーコンは、フランスの貴族であり、また、哲学者でもあったお方であります。
Bacon と書いて「ベーコン」と訓みます。食べるほうのベーコンとたまたま同じ綴りなのですが。
フランシス・ベーコンは、1561年1月22日に生まれています。
「フランス人は見かけよりも賢く、スペイン人は実際よりも賢く見える。」
フランシス・ベーコンは、『賢く見えることについて』のなかで、そのように言っております。日本人の場合、どうなのか。ぜひ、ベーコン先生にお伺いしておきたかったところですが。
ベーコンはベーコンでも食べるほうのベーコンについて。言うまでもないことですが、ベーコンは豚肉の保存食。保存のために燻したりするわけですね。
ただ大昔のベーコンは、野生の猪だったという。時代とともに野生の猪が得難くなったので、その代わりに豚が用いられるようになったんだそうですね。
『ベーコン』という題名の小説があります。作家の井上荒野が、2006年に発表した短篇。
「ベーコンはゆっくり炙られていった。脂身がぷっくり膨らみ、次第に透明になって、端のほうから少しずつ、ちりちりと焦げていく。脂が炭の上に落ちて、香ばしい細い煙になった。」
ここではベーコンを、炭火の上で焼いているんですね。うーん、食べてみたい。
ベーコンが出てくる物語に、『プロヴァンスの贈りもの』があります。2004年に、イギリスの作家、ピーター・メイルが発表した創作。
「マックスは頭をふった。「ベーコン・エッグならできるけどね。典型的なイギリスの朝食。」
これは物語の主人公が、オムレツを注文した時の返事として。そして、こうも言うのです。
「来週にでも、夕食にいらしてくださいよ。女房は野生のイノシシの煮込みが得意で………」
また、ピーター・メイルの『プロヴァンスの贈りもの』には、こんな描写も出てきます。
「………まず最初にビリーが自分のネクタイ ー
水玉模様を散らしたジャーミン・ストリート仕立ての絹の厚地のネクタイを手にとったときだった。その先端をズボンのベルト部分に丁寧に押しこみ、生徒たちにも同じことをするようにと彼は言った。」
「絹の厚地」。これは、「へヴィ・シルク」のことかと思われます。一般に、ネクタイ地は、へヴィ・シルクが良いとされるのです。
どなたかへヴィ・シルクのネクタイを作って頂けませんでしょうか。
上着の下からネクタイの端を覗かせることはしませんから。