カールとカルディガン

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カールは男の子の名前ですよね。ファッションのほうでは、カール・ラガフェルトがいます。また、音楽のほうではカール・リヒターがいるでしょう。
カール・リヒターはドイツの優れた指揮者です。カール・リヒターは、1926年6月15日に、ドイツのプラウエンに生まれています。
1967年に、ドイツのベルリンで、カール・リヒターの指揮でバッハを聴いた音楽評論家に、吉田秀和がいるのですね。

「もちろん、この時の演奏が、いまだに最も印象に強く残っている。」

吉田秀和の評論『カール・リヒター』に、そのように書いています。
1976年に、カール・リヒターは、単身、日本にやって来ているのです。吉田秀和がコンサートに顔を出したのは、言うまでもないでしょう。
音楽会の後で、関係者を含めての食事会があって、吉田秀和も参加したとのことです。さるお座敷天麩羅の店で。
その時のカール・リヒターは、食事が待ちきれないようで、大いに健啖家を発揮したという。少ないとも二人前の天麩羅をきれいに平らげて。
それというのも、来日の飛行機では、いっさい食事を取らなかったので。そこで、吉田秀和はカール・リヒターに訊いた。
「どうして機内でお食事なさらなかったのですか?」
これに対するカール・リヒターの答え。

「機内ほど誰にも邪魔されずに楽譜を愉しめるところはないからね。」

リヒターは飛行機の中でずっと楽譜を開いていたんだそうですね。そして、また、こうも言ったそうです。

「特にバッハの楽譜はいつ眺めても、必ず新しい発見がありますから」

カールにはもうひとつ、ウエイヴの意味があります。髪にカールをかけるとか。

「薔薇の香りはニジンスキーである。娘は、カールした花びらをつけた衣装のなかに、踊ったばかりのパートナーの姿を見ているのであろう。」

1911年の6月。ニジンスキーの『薔薇の精』を観たジャン・コクトオは、そのように表現しています。
1910年代から1920年代にかけて、ニジンスキーの人気には絶大なものがあったようです。

「紛れもなく天才だった。まるでそれは恍惚であり、ほとんど神技に近かった。

チャップリンはそのように述べています。
1916年に映されたニジンスキーの私服を見ると、丈長の、白い。カルディガンを着ています。黒い縁取りのあるカーディガンを。
フランスなら「カルディガン」でしょうか。
どなたか1910年代のカルディガンを編んで頂けませんでしょうか。

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