エスカルゴとエシャルプ

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エスカルゴは、カタツムリのことですよね。でんでん虫とも言います。また、漢字では、「蝸牛」とも書くんだそうですが。
カタツムリには、左右二本のツノがあって、これを牛に見立てての「蝸牛」なんでしょう。
エスカルゴをよく食べる国に、フランスがあります。どうしてフランスではエスカルゴをよく食べるのか。これはたぶん古代ロオマからの影響なのでしょうね。
古代ロオマでのエスカルゴは、日常茶飯の食べ物だったと言いますから。そして、もうひとつには、葡萄との関係もあるのでしょう。葡萄の葉を食べたカタツムリの味がよろしいということになっているんだそうですね。
エスカルゴescargot は、直接には、プロヴァンス語の「エスカラゴル」escaragol
から来ているんだとか。古い時代には、プロヴァンス産のエスカルゴに人気があったのでしょうか。
レストランでエスカルゴを注文いたしますと、たいてい六個入りの器に入って出てきますよね。あの専用皿のことを、「エスカゴーティエル」。また、時によっては、「エスカルゴ養殖場」の意味にも。

「エスカルゴ。油に混じけのない塩を入れてエスカルゴを揚げる。ラーセル、胡椒、リクアーメン、油をかける。」

古代ロオマの美食家だった、アピキウスは、そんなふうに書いてあります。ここでの「ラーセル」は古代ロオマにあったハーブのこと。多少の違いはありますが、今のエスカルゴに近い調理法は古代ロオマにもあったのでしょう。
中世ヨーロッパの修道院では多くエスカルゴが養殖されたそうです。つまり葡萄の葉がたくさんあったからに外なりません。当時の修道院はワイン醸造所でもありましたから。
ところが、十七世紀のフランスで、一時期エスカルゴの流行が下火に。これを十八世紀になって、復活させたのが、料理人のカレーム。もちろん、アントナン・カレームのことであります。当時、フランスの外務大臣でもあったタレイラン・ペリゴールが、エスカルゴを懐かしんだので。そのご希望に応じて、カレームがエスカルゴを提供したと伝えられています。
すでのお話した通り、エスカルゴはワインと大いに関係しています。たとえば、ブルゴーニュやシャンパーニュのエスカルゴは最上だと考えられているように。食通のなかにはそのエスカルゴの産地を聞いてから、ワインを選んだりもするんだとか。
エスカルゴには、白ワインを合わせのが、普通。チキンの親戚だと考えられているらしい。

エスカルゴが出てくる小説に、『或殺人』があります。森 茉莉が昭和三十七年に発表した短篇。

「片腕のやうにしてゐる支配人の川口の息子基一郎にあひ「エスカルゴ」で昼飯を食つた後、ボオリングをやりたいといふので連れて来たのである。」

ここでの「エスカルゴ」は、フランス料理店の名前なのでしょうが。
また、『或殺人』には、こんな描写も出てきます。

「首から被るやうに垂した黒と灰色の棒縞の絹のエシャールと一緒に黒の上着の裾を跳ね」。

これは「クロオド樫田」の着こなしとして。ここでのエシャールは、スカーフのことなのでしょうか。
フランス語には、「エシャルプ」echarpe の言い方もあるようですが。
どなたか絹の縞柄のエシャルプを作って頂けませんでしょうか。

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