チェルシーとリネン

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チェルシーはロンドンの地名ですよね。頭にチェルシーとつく言葉もいくつかあるようです。たとえば、チェルシー・ブーツ。
あるいはまた、「チェルシー・バン」。これはロンドン子がよく食べる菓子パン。シナモン風味、レーズンが入っていて、渦巻型になっているパンであり、菓子であり。
このチェルシー・バン、どこのが一番美味しいのか。「サグネス」。ロンドンの、マリーレボーネ・ハイ・ストリートにある「サグネス」。『ベスト・ワン事典』には、そんなふうに出ています。
ウイリアム・デイビス編『ベスト・ワン事典』は、1982年に出ています。話のネタ本としては面白い本です。「ベスト・ワン」と言われると、誰しも興味が湧くのでしょう。
では、ミステリのベスト・ワンは。これは、難しい。第一、人それぞれの好みがありますからね。
でも、そこのところに目をつむってあえて、あげますと。『Yの悲劇』。1932年に、エラリイ・クイーンが発表した物語。よくミステリのベストといった企画がありますよね。『Yの悲劇』は、何度も第一位に選ばれています。

「涼しそうなリネンの服に、麦わら帽に白靴といったいでたちで、籐のステッキをかかえていた。」

もちろん探偵役の、ドルリイ・レーンの着こなしなんですね。ドルリイ・レーンは、今は引退した、かつてのシェイクスピア劇の役者という設定。それで住んでいるところが、「ハムレット荘」というわけなんです。「ハムレット荘」には「マーメイド・タバーン」という名のバアがあって。これは昔、ロンドンで有名だった店をそのまま移築したもの。たぶん当時のバアのベスト・ワンだったのでしょう。
それはともかく。一度リネンを着て、チェルシー・バンを食べに行きたいものですね。

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