ウインザー公は、紳士服飾の20世紀のスタイルやトレンドに大きな影響と功績を残した。それは21世紀の現代でも、燦然と輝き続けている。そんなウインザー公へのオマージュも込めて、選びぬいた情報や製品をセレクトしてお伝えします。
東京・青山に本社と直営店がある渡辺産業は、創業が1962年と歴史のある企業。主な業務内容は、アパレル関連の英国製品の輸入販売。特にキルティング素材のアウターブランド「ラベンハム」、そして英国を代表する靴メーカーの「チャーチ」と「チーニー」などでは多大な実積がある。
今回は渡辺産業の2016年春夏コレクションの一部をご紹介します。
ドレイクス/DRAKE’S
ドレイクスはタイ、ポケットチーフ、シャツ等のブランド。マイケル ヒル氏がクリエイティブ・ディレクターを務める同ブランドは、マイケル氏によると「ドレスカテゴリーの中でも、ドレイクスの製品はカジュアルに近い位置なのだ…..」との事。しかし、アップデイテット トラディショナル(進化する伝統)のようにも感じられるが、アイテムを代表するタイやポケットチーフのコレクションの色や柄からも新しさを感じる。そんなドレイクス独自の余裕と遊び感覚のある製品には、色鮮やかなドッドやブルー系のトーンが目立っていた。
チーニー/CHEANEY
チーニーはウエルテッド製法に拘る英国ノーザンプトンのシューメーカーのブランド、最近はレディス モデルも充実しているようだ。特に今回発表モデルでは、サドルタイプのローファーのバリエーションが素晴らしく、他にもダブルモンク、プレーントウ、チャッカブーツなどのアイテムもレディスとしては興味深い限りだ。また、メンズモデルでは、遂に英国製コードバンを使用したモデルが登場。また、ホワイトカラーのグレインレザーにビブラムソールを装着したダブルモンク、ダービーブローグ、パンチドキャップ ダービー、プレーントウ等のスタイルも斬新だった。
プライベート・ホワイト V.C.
同ブランドはジャック・ホワイト氏の日常着がベースのカジュアル主体のオリジナル・ブランド。ジャック・ホワイト氏は1938年から30年間、当時英国のメンズアパレル業界を率いたプロデューサーの一人として技術向上と工場の評判を高めた伝説の人物。工場はイギリス・マンチェスターにあり、生地や糸、ボタンなどの材料のほとんどを工場近くから仕入れており、Made In Englandにこだわったウエアーを作り出してきた。
来春夏シーズンでは、同系色のテーラードのコーディネートや、ホワイトシャツと言ったアイテムが発表され、洗練された印象のアイテムが打ち出されていた。
ブリテッシュ メイド コレクション
自社オリジナル店舗「ブリティッシュ・メイド」は、英国製に拘った独自の製品アイテムを取り扱っている。
今回のコレクションでは、ウエイサイド フラワー ブリドリントンの、デニム・ショップコート、ハイキングパーカー等。他ノーザンプトンで小規模生産されている「T シャツ」。ウォルシュの英国製ランニングシューズ(スニーカー)。ラガーシャツで有名な元メダリオンにいた人物が、創業したカット&ソウのブランド。さらに、グレンロイヤルのウィークエンドコレクション(メイド イン スコットランド)の、キャンバスとブライドルレザーの組み合わせトートバック等のアイテムも興味深かった。
渡辺産業は、多くの英国ブランドを日本に導入してきた功績は大きい。英国のファッションアイテムは、とかく購買ターゲットが見え難く、しかも購入層の顧客は奥深い知識のある人々が多いようだ。そんなマーケットニーズに対して同社は、脈々と本質的な英国文化を分析しながら、明解で親しみやすい英国スタイルを日本に紹介し続けている。
近年のセレクトショップやファストファッションの乱立する市場環境の中でも、取り扱う製品のオリジナリティーを柱に、英国製品に拘る企業姿勢は素晴らしい限りだ。
渡辺産業ホームページ
http://www.watanabe-int.co.jp/