ヘレンとクロケット

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ヘレンという名前の女性はたくさんいらっしゃるんでしょうね。
たとえば、ヘレン・メリルだとか。アメリカのジャズ・シンガーですよね。ヘレン・メリルは、1929年の生まれなんだとか。『バイバイ・ブラックバード』なんかを歌っています。
1966年に日本に来て。というよりもしばらく日本に住んでいたことも。そんなこともあって日本人にはなじみのある歌手でしょう。
ヘレンという名の歌手はもうひとりいまして。ヘレン・シャピロ。ヘレン・シャピロはイギリスのポップスを歌って人気のあった人。『悲しき十六歳』や、『子供じゃないのよ』は、よく知られているところでしょう。
このヘレン・シャピロと一緒に公演したのが、ビートルズ。1963年2月2日のこと。この日からざっと一月、イギリス全土をまわっています。この頃は、ビートルズよりもむしろヘレン・シャピロのほうが有名だったようですが。
そしてまた、この全国ツアーがビートルズ人気を高めるきっかけにもなったのでしょう。

「リバプール出身のビートルズと名乗る4人の若者が、目下、人気上昇中である。」

1963年の2月『ロンドン・イヴニング・スタンダード』紙は、そんなふうに書いています。これはたぶん、ビートルズの記事が全国紙に出た最初ではないでしょうか。ビートルズの『プリーズ・プリーズ・ミー』が、レコード売上げ第一位になるのも、この頃のことなんですね。
1963年、英国で発表された短篇に、『拝啓ファルケンハイム博士』が。グレアム・グリーンがクリスマスにからめて書いた小説なんですね。もちろん、サンタ・クロースなんかも出てきますが。この中に。

「カウボーイハットや、毛皮の尾飾りのついたデイヴィー・クロケット帽や……」

これはたぶん「クーン・スキン」のことでしょうね。「デイヴィー・クロケット」とも。アライグマの毛皮で仕上げた帽子のことです。
デイヴィー・クロケットを被って。ヘレン・メリルか、ヘレン・シャピロのレコード盤を探しに行くとしましょうか。

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