びろうどとスニーカー

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びろうどの歴史も古いんだそうですね。
びろうどはもちろん、ヴェルヴェットのこと。漢字では、天鵞絨とかくこともあります。
江戸の頃には下駄の鼻緒にも使われたそうですね。

「路かわきたる時も、十町廿町ぐらゐの所へは下駄にて通行す。緒はびろうどの太きを用ゆ。」

天保四年 (1833年 ) 頃に出たと思われる、『世のすがた』には、そんな風一節があるのだとか。ここからひとつ想像できるのは、昔は主に雨の日に下駄を履いたようでね。
昔といえば、「吉原下駄」というのがあったらしい。吉原下駄は四角ばった下駄で、杉板で作った。鼻緒は、竹皮をすげたという。そういえば最近は、「すげる」という言葉、あんまり聞かなくなりましたね。
吉原下駄は。たとえば客が晴れた日にやって来る。さて帰ろうかとなって、雨。そんな時に下駄を貸した。それで、吉原下駄と呼んだんだそうです。貸すとは言っても返すわけでなく、一回こっきりの、下駄。なんとも粋な下駄があったものですね。
また、明和年間には「日和下駄」があった。これは深川あたりの、粋なお兄さんのこと。どうして、日和下駄なのか。天気の良い日でもわざと、下駄を履いた。それで、「日和下駄」は気取り屋のお兄さんの意味だったとか。
下駄が出てくるミステリに、『単独捜査』があります。ピーター・ラヴゼイが、1992年に発表した物語。この中に。

「アメリカのスニーカーに比べると歩きにくいそうだが、足のためにいいといわれた。日本では“下駄”と呼んでいる。」

また、こんな描写も。

「白のデニムに黒のTシャツ、そして色あせた赤のランニングシューズ………」。

まあ、これも一種のスニーカーと考えて良いでしょうね。
たぶんそにうちにびろうどのスニーカーなんてのもあらわれるのでしょうが。

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