チャペルは、教会のことですよね。キリスト教信者は毎週の日曜日の午前、礼拝に行くことになっています。
チャペルはまた通りの名前になったりもします。立派な、有名な教会があったりすると、いつの間にか、「チャペル・ストリート」と呼ばれるように。
ロンドンにも、「チャペル・ストリート」はあります。どこにあるかと申しますと、ベルグレイヴィア地区にあります。ベルグレイヴィア Belgravia は、バッキンガム宮殿に近いこともあって、ロンドン有数の高級住宅地。
1964年に、この地に住んだのが、エプスタイン。ブライアン・エプスタイン。言わずと知れたザ・ビートルズの敏腕マネージャーであります。場所は、ベルグレイヴィア、チャペル・ストリート24番地。1964年12月20日のことです。
5階建ての、ジョージ王朝風の館で、六万ポンドの値段であったという。使用人の部屋があり、屋上は庭になっていたそうですね。ブライアン・エプスタインはしばしばこの屋敷で、パーティーを開いて。もちろんビートルズの面々も顔を出して。ジョン・レノンはよくこのホーム・パーティーに、真紅のトラウザーズであらわれたという。
トラウザーズではなく、シューズの話。ビートルズが流行らせた靴に、チェルシー・ブーツがあります。サイド・ゴア、ポインテッド・トゥの、ハーフ・ブーツ。ビートルズが一種の「制服」としてチェルシー・ブーツを履くようになったのは、1962年のことです。少なくともそれ以前のハンブルグ時代には、チェルシー・ブーツではありませんでした。
1963年9月11日。「メロディ・メイカー」誌の「ヴォーカル・グループ賞」を受けた時には、すでにお揃いで、チェルシー・ブーツを履いています。では、なぜビートルズは1962年に、チェルシー・ブーツを採用したのか。1962年に、「制服」が新しくなって、スリムなスーツ、スリムなトラウザーズになって。チェルシー・ブーツが合わせやすかったから。
時にはチェルシー・ブーツで。チャペルの礼拝に行くといたしましょうか。
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