聖水とセイラー・パンツ

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

聖水は、訓んで字のごとく、聖なる水のことですね。ホウリー・ウォーター。
フランスでは、「オウ・ベニ」。そのままに訳しますと、「祝福された水」の意味になります。e a u b en i t 。
主にキリスト教での洗礼式などにも使われるものです。聖水にはそれを扱う聖水係というのがあるらしい。
モオパッサンの短篇に、『聖水係の男』があります。1877年『モザイク』誌1月号に発表された物語。短篇というより、掌篇に近い、うんと短いものです。が、読後の興奮と感動には長いものがあります。

「つづいて老父婦が悲しみや気苦労の数々を語り、話し終えると、もう一度息子を抱きしめた。」

モオパッサンは、淡々と書いています。
フランスのとある所で、ジャンという五歳の男の子がいなくなった。旅周りのサーカスについて行ったもでしょう。
それからざっと二十年が経って、偶然、ジャンに出会う物語。
モオパッサンが出てくる小説に、『花はくれなゐ』があります。1929年に、池井信三郎が書いた小説。

「モーパッサンを讀んで、これ丈澤山小説を書くのには、随分萬年筆を使ふだらうつて…………………。」

モオパッサンを読んで、商売を思いつく人もいるという話なんですが。また、『花はくれなゐ』には、こんな描写も出てきます。

「ハイカラな格子のスエターに鼠色のセーラーパンツを穿いた監督助手が……………………。」

セイラー・パンツはもともと船員が穿いたので、その名前があります。万一、海に落ちたとき、すぐにパンツが脱げるように、うんと広く仕立てられているのです。
さて、セイラー・パンツを穿いて、モオパッサンの本を探しに行くとしましょうか。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone