古都は、故き佳き時代の都ですよね。たとえば、奈良とか、京都とか。むかしは、「故都」とも書いたらしい。
あるいはまた、鎌倉なども。もっと古くは、邪馬台国。卑弥呼が治めていたという古代の都。でも、ほんとうに、どこにあったのかは、よく分かってはいないんだそうですが。
古代はもちろん、西洋にもあって。ひとつの例として、バビロン。バビロンは、古代メソポタミアにあった、古都。ただ、紀元前十七世紀頃の時代からあったそうですから、古い。
京都に賀茂川が流れているように、バビロンにはユーフラテス川が流れていて。海上交通の要でもあったのでしょうね。
このバビロンの古都を治めていたのが、ハンムラビ王。歴史上、二番目に古いとされる「ハンムラビ法典」を作ったとされるお方であります。
バビロンでもうひとつ有名なのが、「空中庭園」。かつて、世界の七不思議のひとつとされたものです。はるか遠くから眺めると、空に浮かんでいる庭のように見えるので、「空中庭園」。でも、実際には、高く山の上に造られた美事な庭園だったらしい。
スコット・フィッツジェラルドの小説に、『バビロン再訪』があります。これは主人公が、故き佳き時代の巴里を想う内容になっています。
フィッツジェラルドは一例ですが、古都の代名詞として「バビロン」はよく引合いに出されるようですね。
バビロンが出てくる小説に、『白い僧院の殺人』があります。
「彼は両肩をそびやかした。「古都バビロンのように破壊した。…………」。
これは、舞台俳優の、ジャーヴィス・ウィラードの発言。
『白い僧院の殺人』は、1934年に、カーター・ディクスンが発表した物語。この中に。
「馬丁用の褐色のゲートルをつけコール天の上着を着た一人の男の姿が見えた。」
もちろん屋敷に雇われている馬丁の着こなし。コール天はいうまでもなく、コオデュロイのこと。
日本にはまず、「天鵞絨」としてのヴェルヴェットは齎されて。その後、コオデュロイが。そのため、「畝のある天鵞絨」の意味で、「コール天」と呼ばれるようになったものです。
コール天もまた、その畝の幅で性格が変ってきます。ワイド・ウエールなら、大胆で。ピン・ウエールなら、優雅で。
ピン・ウエール・コオデュロイの上着で、古都を訪ねたいものですね。