ファインは、よく使う言葉ですよね。たとえば、「アイム・ファイン」だとか。
もちろん、晴れた日なんかにも役立ってくれます。とにかく、応用範囲の広い言葉です。あえて日本語にするなら、「上等」でしょうか。
ファイン f in e は、ラテン語の「フィニオ」 f in i o と関係があるらしい。ラテン語の「フィニオ」は、英語の「フニッシュ」似て、「出来上がっている」の意味であったらしい。
ファインはファインでも。昭和のはじめに、「ファイン」という銘柄の商品があった。
東京の、「小柳ゴム制作所」の、「ファイン」。これは何に使う商品だったのか。「美整身長」と、説明されています。
もちろん、真面目な話で。特許をも得ています。特許番号は、「66441」となっています。ちなみに「小柳ゴム制作所」の住所は、東京市神田區連雀町十八番地だったそうです。
値段は、足袋用が、5円30銭。靴用が、5円80銭と記されています。
以上のことから想像するに、踵の上底だったのではないでしょうか。それはゴム製のヒールで。上に靴下なり足袋なりを履いて、背を高くする秘密の小道具だったのでは。
まあ、それはともかく。昭和五年頃に、「ファイン」という秘密兵器があったことは間違いないでしょう。
話はたったそれだけのことなのですが。でも。しかし。私は、自分で、常日頃、いかに姿勢が悪いか、よく知っています。
背中が丸いのがです。顎が前に出ているのです。要するに、背筋が伸びていない。
この背筋が伸びていない状態で、いくら舶来上等のスーツを着ても、まったく映えない。正しいスーツを正しく着こなすには、ファイン・プロポーションが不可欠なのです。
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