ブルターニュとブレイシーズ

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ブルターニュは、フランスの地方名ですよね。ブルターニュは州の名前でもあり、また半島の名前でもあります。
むかしは、ブルトン語が多く用いられた地域で。その古い言い方では、「ブレイス」と呼ばれたものだそうです。
そうそう、「ブレトン・ベレエ」は、このブルターニュの民族帽に因んだいるわけですね。「バスク・ベレエ」に較べて、やや大ぶりの、ゆったりしたベレエ帽のこと。
ブルターニュは海を挟んで、イギリスにも近い。事実、ジャージー島とサン・マロの間には、古代から交流があったという。
サン・マロをはじめ。ブルターニュの海岸は牡蠣の産地としても、有名。潮の満ち引きが大きく、それが美味しい牡蠣の秘密なんだそうです。
サン・マロからも遠くない場所に、「サン・ジャム」S a int J am es の町があります。この辺りの土産物屋には、たくさんバスク・シャツが並んでいます。
ピカソが愛用したことでも知られる、バスク・シャツ。このバスク・シャツの本場が、「サン・ジャム」なのです。その昔、英國軍が一時期、この町を征服して、「セント・ジェイムズ」と命名。それが後に、「サン・ジャム」となったもの。
このサン・ジャムで、1850年にはじまったジャージーの会社が、「トリコ・サン・ジャム」。サン・ジャムのニット・メイカー。まことに分かりやすい名前だといえるでしょう。
バスク・シャツは、1950年頃から。今ではフランス海軍にも「トリコ・サン・ジャム」のシャツが納められているという。
ブルターニュが出てくるミステリに、『スパイたちの遺産』があります。イギリスの作家、ジョン・ル・カレが、2017年に発表した物語。

「一九三〇年の夏には、ブルターニュ北岸の温泉保養地サン・マロで湯治しながら………………。」

これは主人公の、ピーター・ギラムが、父の様子を語ろうとする場面。
また、『スパイたちの遺産』には、こんな描写も出てきます。

「五十歳の元ラグビー選手は、赤いズボン吊りにチェックのフランネルシャツという恰好で……………………。」

これは、アッシュ・メドウズという人物の着こなし。「吊りズボン」。フランス語なら、「ブレテル」。イギリス語なら、「ブレイシーズ 」でしょうか。
ブレイシーズ がほぼ今のような形になったのは、1825年頃のこと。それ以前には、「ギャロウシーズ」g a l l ows es と呼ばれる単なる「肩紐」のようなものであったそうです。
イギリス人はブレイシーズ を下着のひとつと考えていて、めったに人前に晒すことはありません。
好みのブレイシーズ で、ブルターニュを旅したいものですね。

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