フィアンセとブートニエール

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フィアンセは、許嫁のことですよね。許嫁は十五世紀の『伊勢物語』にも出てくるそうですから、古くからの言葉なんでしょうね。
でも、なんで許嫁がフィアンセの意味になるのか。
これはもともと、「結納付」のことだったそうです。
「ゆいのうづき」。このゆいのうづきが時代とともにだんだん変化して、「いいなづけ」になったんだそうですね。

「じゃ許嫁男? でなきゃ従姉妹? 」

明治三十六年に、小杉天外が発表した小説『魔風恋風』に、そんな会話が出てきます。
小杉天外の『魔風恋風』を読んでおりますと、こんな描写も出てきます。

「髯の長い二重鳶の其の男は、見掛けにも依らず、慌てて腕車を降りるや否や、ぴょこぴょこ叩頭したが、その機に黒の山高帽をぽこんと地面に落した。」

ここでの「二重鳶」は、インヴァーネス・ケープの一種でしょう。また、「山高帽」が、今のボウラーであるのも、いうまでもないでしょう。

フィアンセが出てくる短篇に、『家柄』があります。フランスの作家、フランソワ・モーリャックの書いた小説。

「将来嫁になるはずの女に挨拶のキスをし、『わが娘』とまで呼んだ。」

ここでの『わが娘』は、「マ・フィーユ」になっているのですが。
同じくフランソワ・モーリャックが発表した短篇に、『心の痛手』があります。この中に。

「ポール・オルジェルはタキシードに身を包み、胸には一輪のカーネーションをつけ、髪をポマードでとかしつけて、いいにおいをさせながら………」

これはたぶん、「ブートニエール」のことかと思われます。
一般常識として。ディナー・ジャケットには、赤のカーネーションを。そして燕尾服には、白のカーネーションを挿すことになっています。
どなたかブートニエールがふさわしいスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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