バスは、乗り物のことですよね。都心でも、駐車場を探すことを考えますと、バスの方がはやいことさえあります。
bus と書いて、「バス」。これは「オムニバス」omunibus を短くしての言い方なんですってね。ラテン語の「オムニ」omuni
には、「すべての」の意味があったそうです。
「オムニバス映画」というではありませんか。オムニバス映画で、記憶に遺っているものに、『黄色いロールスロイス』があります。1964年のイギリス映画。男優では、レックス・ハリスンや、オマー・シャリフ。女優では、イングリッド・バーグマンや、シャリー・マクレーンが出演していました。
まったく異なった話を、イエロー・ロールスロイスがつないでいく粋な映画でしたね。
バスが出てくる随筆に、『永日小品』があります。もちろん、夏目漱石。主に、英国留学中の話が中心になっているのですが。
「バスが行き逢ふときは、行き逢つた時丈綺麗だなと思ふ。」
言うまでもなく、当時のロンドンのバスについて。その時代のロンドンのバスは、馬に牽かせていたんだそうですが。
とにかく霧の都ですから、突然にバスがあらわれて。その様子が面白いと、漱石は書いています。
まで『永日小品』には、クレイグ先生の話も。
「いつでも縞のフラネルをきて、むくむくした上靴を足に穿いて………」
自宅でのクレイグ先生の様子を、そんなふうに書いてあります。
ウイリアム・ジェイムズ・クレイグは、ロンドンでの漱石の英語の先生。毎週の火曜日、漱石はクレイグ先生の自宅で、英会話を教えてもらっていたので。一時間、五シリングの授業料だったという。
バスが出てくる紀行文に、『琉球布紀行』があります。2000年に、澤地久枝が発表した「布紀行」。
「………バスの座席には十分という以上のゆとりがあったから、わたしたちはナゲラからの商人の同乗に異議などあろうわけはない。」
これはインドネシアに、「イカット」を探した時の話として。
また、『琉球布紀行』には、芭蕉布のことも出てきます。
「芭蕉布の素材となるのは、バナナを実らせる実芭蕉の仲間、糸芭蕉と呼ばれる。だが野生の糸芭蕉は、繊維がかたいため使われない。」
そこで、芭蕉布を織るには、まず糸芭蕉を自分で栽培しなくてはならない。手間も暇もかかる繊維なのです。が、実際に着てみると、涼しいことこの上もなし。
どなたか芭蕉布で夏のスーツを仕立てて頂けませんでしょうか。