朝飯と麻服

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朝飯は、ブレックファストのことですよね。breakfast
と書いて「ブレックファスト」と訓むわけです。英語の「ブレックファスト」は、1463年頃から用いられているんだとか。
英語の「ファースト」fast には、「断食」の意味がありまして。「断食後の食事」を指したという。朝飯が旨いのも当然でしょう。
古代の日本では「朝褻」と呼んだらしい。これで「あさけ」と訓んで。これが後の時代に訛って、「あさげ」になったという。
中世以降のでは、「あさいい」。もちろん「朝飯」の文字を宛てたわけです。そして、「朝召」の言い方も。いうまでもなく「朝に召しあがれ」の意味として。さらに近世になって「あさめし」となったんだそうですね。
スタインベックが1930年代に書いた短篇に、『朝飯』があります。

「………ベーコンをいためたりパンを焼いたりする匂いが漂ってきた。こんなに温かで愉しい匂いは嗅いだことがない。」

また、『朝飯』には、こんな文章も出てきます。

「彼等は真鍮のボタンの光る新しい青いデニムの上下を着ていた。」

結局「私」も朝飯を御馳走になるのですが。

1947年の夏、スタインベックはロシアに、取材旅行。写真家のロバート・キャパとふたりで。キャパの写真機材、十三個。
税関はキャパの写真機材が珍しくて、すべての荷物を開けさせて、見物したそうですね。

朝飯が出てくるミステリに、『オスカー・ワイルドとキャンドルライト殺人事件』があります。2007年に、ジャイルズ・ブランドレスが発表した物語。

「君は朝食には遅すぎたが、少なくとも、僕の話を聞き、アーサーのアドバイスを記録するには間に合ったよ。」

これは、オスカー・ワイルドの言葉として。ここに出てくる「アーサー」とは、コナン・ドイルのことなのですが。
また、『オスカー・ワイルドとキャンドルライト殺人事件』には、こんな描写も出てきます。

「………キングズ・ロードへとつながるクライストチャーチ・ストリートに入った時、オスカーは、レモン色の麻のジャケットの袖口を整え………」

ここでの「オスカー」が、オスカー・ワイルドであるのは、言うまでもないでしょう。十九世紀末、オスカー・ワイルドはレモン色の麻服を着ていたのですね。
どなたかレモン色の麻服を仕立てて頂けませんでしょうか。

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