ヴェルモットは、薬酒のひとつですよね。白ワインにニガヨモギなどを漬け込むと、ヴェルモットになります。ただしニガヨモギだけでなく、いろんな薬草のエキスが含まれているんだそうですね。
vermouth と書いて、「ヴェルモット」と訓むんだそうですね。
薬草入りの白ワインの歴史は古く、古代ギリシア時代に遡るという。かのヒッポクラテスは、蜂蜜やハーブ入りの白ワインを薬として患者に飲ませたことがあるとのことです。
十七世紀のドイツには、今のヴェルモットの原型があったらしい。「ヴェルムート」Wermut
がそれです。ヴェルムートはドイツ語で、「ニガヨモギ」の意味。ここから英語の「ヴェルモット」vermouth
が生まれているわけですね。英語としては1806年頃から、用いられているとのことです。
ヴェルモットが欠かせないカクテルに、「ギブソン」があります。ジンにヴェルモットを加えますと、「ギブソン」の完成です。
ヴェルモットが出てくる小説に、『アパアトの女たちと僕と』があります。
昭和三年に、龍胆寺 雄が発表した短篇。
「………S・さんは頸の長いベルモットの瓶を、てにしたグラスの縁へ傾けながら、くるり頭だけ振向けた。」
ヴェルモットが出てくるミステリに、『心地よく秘密めいた場所』があります。1971年に、エラリイ・クイーンが発表した物語。
「シャルトルーズさ。アイリッシュ・ウイスキーと甘くちのベルモットを混ぜてあるのだ」
これはエラリイ・クイーン親子が、酒を飲んでいる場面。
また、『心地よく秘密めいた場所』には、こんな描写も出てきます。
「………彼が着ているしゃれた上着のブラウンのベルベットの襟の折返しには、タバコの燃えさしがくすぶっていた。」
これは富豪の、ニーノ・インポーチュナの着こなしとして。社長室でのこと。
どなたか白のヴェルヴェットの上着を仕立てて頂けませんでしょうか。