ラッピングとラクダ

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ラッピングは、「包装」のことですよね。品物を包むこと。フランスパンを買うと、細長い紙袋に入れてくれます。あれもラッピングのひとつなのでしょう。
どうかすると、まず透明のビニール袋があって、それを紙袋に。さて、帰ろうとすると、店の手提げ袋に入れて手渡してくれたり。
今はさておき、昔の巴里のパン屋には、紙袋はありませんでした。バゲット一本買うと、はい、どうぞ。この剥き出しのバゲットを小脇に抱え持つのが粋だったものです。
今、パリでのパンの紙袋は、日本の影響ではないでしょうか。
それはともかく、ラッピングの話。電車をまるごとラッピングすることがあります。「ラッピング電車」といえば良いのでしょうか。もちろんひとつの宣伝として。
ラッピング電車のデザインを担当した美術家に、横尾忠則がいます。

「この電化を記念して走ることになったラッピング・カーを迎える各駅は、もう大変なお祭り騒ぎだった。」

横尾忠則著『絵画の向こう側・ぼくの内側』にそのように書いています。
2004年に、「加古川線」の電車を横尾忠則がラッピングした時の話として。加古川、西脇は、横尾忠則の故郷ですから、当然のことでもあるでしょう。
横尾忠則は、1970年の大阪万博にも参加しています。「せんい館」のデザインは、横尾忠則だったのです。横尾忠則の「せんい館」だけが、未完成。未完成というよりも、あえて工事現場の足場を外さずにおいて。
横尾忠則が「足場でラッピング」の提案をすると、全員が反対。そこで、横尾忠則は責任者の谷口会長に直訴。すると谷口会長は言った。

「あなたの美術論はさっぱりわからない。しかし、あなたの美術に対する情熱は、分かりました。すべて、お任せします。」

かくして前代未聞の足場を組んだままの会場は、完成。横尾忠則はその足場に、カラスを止まらせた絵を描いたという。

「子供時代に読んでおかなければならない本に、『千屋一夜物語』がある。」

横尾忠則は『絵画の向こう側・ぼくの内側』に、そのような文章も出てきます。

「恋と冒険に満ちたあの砂漠の中空に浮かぶ月光の下を、ラクダのキャラバンが行く光景は………」

ラクダ。もちろん、キャメルcamel であります。ことにフタコブラクダからは、純良の毛質がとれます。外套にも最適です。軽くて、暖かいので。
どなたかラクダの外套を仕立てて頂けませんでしょうか。

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