ダーツとタタサル

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ダーツは、おしゃれ語にもあります。「つまみ癖」のことです。ほんの少し服の分量を消したい時にも、ダーツを取ることがあるでしょう。
もともとの形は、「ダート」dart 。「投げ矢」のことです。十六世紀の頃から、英国で行われていた競技なんだそうです。
1620年の「メイフラワー号」。その船内でも、ダーツ競技が使われていたという。たぶん、そんなふうにして、ダーツはアメリカに伝えられたのでしょう。
古代ロオマの神話には、「ダーツ・オブ・アバリス」というのがあります。「アバリス」Abaris
は、アポロ神殿の司祭。アポロンは、アバリスに魔法のダーツを与えて。
アバリスはその魔法のダーツに乗って、各地の病人を治したとの伝説があります。

「その脇は後見頃の脇と合はすためにダート(つまみぐせ)を新しく一つ取って………」

1936年に、星名 久が書いた『洋裁と修飾』に、そのように出ています。星名 久は、「ダート」と書いてあるのですが。

ダーツが出てくる小説に、『死を呼ぶペルシュロン』があります。1946年に、ジョン・フランクリン・バーディンが発表した物語。

「私はビールを飲み、興味をまたダーツの方に向けた。」

これはとある酒場での様子として。
また、『死を呼ぶペルシュロン』には、こんな描写も出てきます。

「ガラス瓶を思わせる緑色をしたビロードの上着にタッターソール柄のチョッキ、藤色のラシャのズボンという扮装である。」

これは「ユータス」という男の着こなしについて。
「タッターソール柄」。これはたぶん「タタサル」tattersall のことかと思われます。乗馬格子。二重格子。
ロンドンの馬市場「タタサル」からはじまった柄なので、その名前があります。
もともとは、馬毛布の柄。ついで馬関係者のチョッキに用いられた格子柄。
どなたか十九世紀のタタサルを復活させて頂けませんでしょうか。

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