馬車と靴下

ceremonial-coach-343399_1280
Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone

馬車には夢がありますよね。今でも観光用としての馬車があります。
自動車の前は、たいていは馬車。今の自動車がやってくれることは、ほとんど馬車がやってくれたわけですね。
たとえばNYの、消防車。これも以前は、馬車。「火事だ!」ということになると、消防馬車が出動して、火を消した。
このNYの消防馬車が最後となったのが、1922年のことだとか。NY、ブルックリン、ピアモント通りに。第205消防隊があって。ここに消防馬車が遺っていた。でも、1922年を最後に引退したという。
1922年2月2日に出版されたのが、『ユリシーズ』。ジェイムズ・ジョイスの長篇ですよね。
いや、大長篇。しかも、実験小説でもあります。『ユリシーズ』は、1904年の6月16日の、一日の出来事を物語にしたもの。
場所はアイルランド、ダブリン。ダブリン、当時の人口は約三十万人。余談ですが。この日の日の出、3時30分。日の入り、8時27分だったそうです。
物語が16日の朝。ディーダラスの家に友だちのバック・マリガンがやって来るところからはじまる。

「脛を覆いしは苔蘇紫に染められし膝までとどくバルブリガンの革脚絆……」

えんえんと続くマリガンの科白は、擬古文になっていて、名調子。
アイルランドですから、当然、バルブリガン Balbriggan が出てくるんでしょう。バルブリガンはダブリンの北東、約三十キロの港町。昔は靴下産業で栄えた所。細番手の綿糸も名前でもあります。
上品な靴下を履いて、馬車に乗りたいものですね。

Share on FacebookTweet about this on TwitterShare on Google+Email this to someone