アルバートとアーガイル

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アルバートは、男の人の名前ですよね。たとえば、アルバート・アインシュタインだとか。
アルバート・アインシュタインは、1879年3月14日。ドイツに生まれています。ということは、「アルベルト」と呼ぶべきかも知れませんが。
アインシュタインと同じくドイツ人で「アルバート」と称されたお方に、アルバート公がいます。言うまでもなく、ヴィクトリア女王の夫君。つまり、「プリンス・アルバート」のことであります。
プリンス・アルバートの最大の功績は、「大英博覧会」でありましょう。1851年のこと。大英博覧会の発案者は、プリンス・アルバートで、もっとも多くの出資者でもありました。大英博覧会が大成功となったので、1855年に、「パリ万国博覧会」が開かれたのですね。
なぜ、1851年の「大英博覧会」は大成功となったのか。その理由はいくつかあるでしょう。が、もっとも大きな原因は、「クリスタル・パレス」。「水晶宮」。ガラスと鉄だけの「宮殿」は当時珍しいものだったから。この水晶宮の世界各国の珍品が一堂に集まったのですから。
1860年に、アルバート公はアメリカを訪問しています。アルバート公、晩年のことですが、もとより、大歓迎を受けて。ここから生まれたアメリカ英語が、「プリンス・アルバート・コート」なのですね。
その時、アルバート公が着ていた、黒の、ダブルの、丈長の、フロック・コート。今でもアメリカで、「プリンス・アルバート」と呼ぶことがあるのは、そのためなのです。
アルバート公が出てくる小説に、『書かれなかった長篇小説』があります。ヴァージニア・ウルフの短篇。

「アルバート公よりクリューガー大統領に似ている………………」。

文中の、「クリューガー大統領」は、ポオル・クリューガーのことかと思われます。初代の、トランスヴァール共和国の大統領だった人物。
ほぼ同じ頃、ヴァージニア・ウルフが書いた短篇に、『堅固な対象』があります。この中に。

「ツィードの縁なし帽や粗皮のブーツ、狩猟用の上着や格子柄の靴下といったものがどんどん明瞭になっていった。」

ここでの「格子柄の靴下」は、たぶんアーガイルかと思われます。
「アーガイル」argyl e は、スコットランドの地名でもあり、また氏族名でもあります。固有名詞の場合には、Argyll と綴ります。
時に、「ダイヤ柄」と呼ばれることも。45度斜めの格子柄。
そもそもはタータンの生地で、バイヤスにして靴下を作ったところから生まれた柄だと考えられています。
アルバート公の、スコットランドの「バルモラル城」では、アーガイル・ホーズをお履きになったことでしょうね。

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