パンとハイ・カラア

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パンは、朝食の時、よく食べるものですよね。和食での飯にあたるものでしょうか。
クロワッサンやロールパン、バゲットなどもそのひとつなのでしょう。
ロールパンにはバターなどを添えます。でも、クロワッサンはバターをつけないで食べることが多いようです。もともとバターがたっぷり含まれているからでしょう。
パンでの朝食と、ご飯での朝食。これもまた、昭和三十年代が、その境界線だったのではないでしょうか。

「………蒸餅というのは、つまり饅頭に餡の入っていないものである。阿蘭陀人はいつも一個を常食としている。彼らはこれを波牟といい、これに羅加牟を添えて食べる。」

1712年に刊行された『和漢三才図会』に、そのように出ています。
著者の、寺島良安は、「波牟」と書いて「パン」のルビをふっています。日本語にあらわれた「パン」としては、かなりはやいものかと思われます。
寺島良安は、「羅加牟」に「ラカン」のルビを添えているのですが。ラカンは脂の一種だと説明しています。たぶん、今のバターではなかったでしょうか。

日本人が日本でパンを焼いたのは、天保十三年のことだったと記録されています。西暦の1842年のことです。
西洋砲術師でもあった、江川太郎左衛門が、伊豆、韮山の代官屋敷の庭に釜を築いて、焼いたという。六月十二日のこと。これは兵士に持たせるためのパンであった そうですが。

パンが出てくるミステリに、『警察長官と砂漠の略奪者』があります。1992年に、マイクル・ピアスが発表した物語。

「………まもなくうずくまっている客たちのあいだに混じってパンをソースにひたし、世間話のかたちをとって事故の状況を聞きはじめた。」

これは警察官の、ガレス・オーウェンの様子として。
また、『警察長官と砂漠の略奪者』には、こんな描写も出てきます。

「ダーク・スーツに白くて固いハイ・カラーという格好なのだ。どうやら博物館ではいつもその服装をしているのだろう。」

これは「アルフォンス・プリープラン」という人物の着こなし。アルフォンスは、博物館の局長という設定になっています。
ハイ・カラアは、ハード・カラア。それというのも、襟を高くするには、固く仕上げなくてはなりませんから。
私のようにだらけきった服ばかり着ている人間には、たまにはハイ・カラアのシャツを着るのが、良いかも知れませんね。
どなたか本式のハイ・カラアのシャツを仕立てて頂けませんでしょうか。

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