ピーターで、名曲で、ロシアで。ということになりますと、『ピーターと狼』でしょうか。もちろん、プロコフィエフですよね。
セルゲイ・プロコフィエフはロシア生まれの作曲家。プロコフィエフは二十世紀のモーツァルトとも言われて。神童。とにかく五歳で、『インドのギャロップ』を作曲したんだとか。九歳の時にはオペラ、『巨人』を。
プロコフィエフは大正七年には、日本にしばらく滞在してもいます。五月三十一日に。奈良公園を散歩中、『ピアノ協奏曲第三番』の想を思いついたとも、伝えられています。その後、日本から、アメリカに渡っています。
プロコフィエフの『ピアノ協奏曲第三番』を指揮したのが、岩城宏之。それも、ロシアで。モスクワ国立放送交響楽団を。1971年頃のこと。岩城宏之が『ピアノ協奏曲第三番』を指揮するのは、その時がはじめて。さすがに岩城宏之、ちょっと緊張したみたいですが。
まあ、そんなわけで、モスクワ国立放送交響楽団の常任指揮者、ロジェストヴェンスキーとも知り合うことに。
さて、いよいよ本番の日になって。岩城宏之の楽屋に、ロジェストヴェンスキーが激励にやってきてくれる。ロジェストヴェンスキーは、いう。「ロシアの水をお飲みなさい」。
岩城宏之はなにかと準備に追われて、のども渇いている。で、ロジェストヴェンスキーの差し出してくれた「ロシアの水」をぐっと、飲む。ところが。これが「ロシアの水」でありすぎたんですね。ウオトカ。
その夜の演奏会では、観客が、会場が、頭の中をくるくる回っていたそうです。岩城宏之著『音の影』に出ている話なんですが。
ピーターといえば、ピーター・ラヴゼイ。ピーター・ラヴゼイは、イギリスの作家。ピーター・ラヴゼイの作中で活躍する探偵が、ピーター・ダイアモンド。たとえば2002ねん作の、『最期の声』に。
「ピンク・ブラザーズのワイシャツとイタリア製の高級スーツを着ていても………」。
ここでの「ピンク・ブラザーズ」は、ロンドンのシャツ専門店のこと。トーマス・ピンクがはじめたので、その名前があります。
ピンク製のシャツには及びませんが。なにか様子のよいシャツを着て。『ピーターと狼』を聴くとしましょうか。